今のまま変動金利で良いのか?南北主脳会談にアベノミクスの終わり…どう対応すべき?

2018年10月11日

長期金利が上がっているがこのまま変動金利で大丈夫か?

 

今日のテレビは朝から南北主脳会談で持ち切りですね。表面的には、また韓国側は融和ムードが進んでいる感じを前面に押し出しています。私も見ました。歩いて軍事境界線をまたぐ金正恩氏、そして金正恩氏に促されて北朝鮮側に跨ぐ文在寅(ムンジェイン)氏。2回跨ぐのはサプライズでしたね。

金正恩氏の肉声も初めて聞きました。

「遠くから冷麺を苦労して持ってきた。いや、遠くなんて言っちゃいけないかな。」

なかなか上手いユーモアでイメチェンを図っています。

そして、長期金利は急上昇しています。これは朝鮮半島情勢ではなく原油価格の上昇によって物価上昇がが進むという観測が高まったためですね。詳しくはこちらをどうぞ。

南北首脳会談では終戦と非核化が焦点となる~米朝首脳会談と住宅ローン金利動向を先読み!-千日のブログ

また、安部首相の3選も厳しくなってきており、アベノミクスの継続が難しくなってくるとなると金融政策にも影響しそうですよね。住宅ローンを変動金利で借りている人にとっては、どういう手を打っていけばいいのか?悩ましいところです。

では今日のご相談者です。

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相談:このまま変動金利で大丈夫ですか?

居住予定の家族の年齢と年収 主人43才600万円
妻49才80万円
子供はいなくて二人家族です
当初借入額 2200万円
物件のタイプ 注文住宅
当初借入日 2017年6月
現在の住宅ローン 三井住友信託銀行変動金利0.59%
24年元利均等返済
毎月5.7万円、ボーナス月13万円
相談内容 ①今のまま変動でよいのか?固定に変更するならネットではなく、銀行に出向いてした方がいいのか?
②繰り上げ返済は10年後?いつか固定に変更したらよいかな?と思ってはいるのですが、夫婦共々、知識も知恵もなく、主人はもっと関心はありません。

毎月貯蓄2万くらいと、ローン繰り上げ返済用に1万、年2回ボーナス時に10万ブラスアルファで貯めて、年間合計で56万円貯めていこうとおもいます。

退職金はあてにならないし、老後資金も貯めないといけないしと、漠然としか考えられず、考えても分からない▪▪▪なるようになるか❗と思ったり▪▪▪。

回答①:まず今の住宅ローンで完済できるかを判定します

年収と年齢によってある程度、無理なく返済できる住宅ローンを見積もることが出来ます。ルールは以下の4つです。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

これをザックリ当てはめて無理なくへ完済できる住宅ローンの金額を出すと以下のようになります。

(単位:万円)

 年齢/月収 15万 20万 25万 30万 35万 40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%

月収30万円40歳の部分は3043万円です。なので当初の借入額の2200万円は無理なく完済できるレンジ内に入っていたということです。

回答②:ボーナス払いの考え方の修正ポイント

ボーナス払いなしをオススメしていますが、今はボーナス払いですよね。普段の月が楽になっていて、実際よりも楽だという錯覚になっているのが心配な点です。

  • ボーナス払い併用の毎月返済(現状)5万7千円
  • ボーナス払いにしない毎月返済は8万2千円

本当の毎月のハードルは8万2千円なのですが、それが5万7千円になっているような錯覚になっているということです。

毎月の貯蓄2万円くらいとのことですが、毎月の貯蓄は2万5千円は余裕で出来るはずです。さらに、変動金利の場合は毎月返済の4分の1を繰上げ返済用に貯蓄すべきとオススメしています。つまり、8万2千円の4分の1である2万円は繰上げ返済用に貯蓄できるはずです。

ということは、2万5千円+2万円=4万5千円は住宅ローンの繰上げ返済資金として毎月貯蓄すべき金額であると言えます。

2万5千円のほうはボーナス払い用の貯蓄と考えても良いと思います。ボーナス払いの方は「ボーナスが出たから払える」と言う感覚でいってしまうと、ボーナス月が替わったり、出なくなってしまったときに辛くなります。

また、後述の変動金利の上昇リスクに対応するための貯蓄と言う面でも、もう少し貯蓄を増やすことをお勧めします。

回答➂:借り換えと金利交渉のやり方

いきなり借り換えるよりは、借り換えたいと思っていることを電話で伝えて、手続き方法を聞くという体で金利交渉することをお勧めします。

銀行に出向く必要はありません。電話で十分です。

変動金利を下げるか、もしくは金利タイプを変更して固定金利の金利を下げてもらうという感じですね。ただ、変動金利を今の金利よりも下げるのは、もう十分に低いですので難しいでしょう。となると金利タイプの変更、固定金利の金利がポイントとなります。

なので、他行の固定金利に借り換えたらどうなるか?というシミュレーションをしてみました。

住信SBIネット銀行20年固定への借り換えをベースに考える

現在43歳ということで、60歳定年まで17年です。金利を固定するのであれば20年固定で必要十分ですね。その20年固定で最も低金利の住信SBIネット銀行で比較を行いました。

固定金利といえばフラット35がメジャーですけど、原則として定年までに完済するというプランでいくならば、定年退職までの固定期間で十分なのです。そして、固定期間は短い方が金利は安いです。

  • フラット35(35年固定団信込み):1.35%
  • 住信SBIネット銀行20年固定(全疾病保障団信込み):1.11%

どちらも団信込みで住信SBIネット銀行の方が低金利ですね。さらに住信SBIネット銀行は全疾病保障が付帯します。

最終的に借り換えるにしても、今の三井住友信託銀行で金利タイプを変更するにしても、現時点で最低金利であるこの住信SBIネット銀行で仮審査を通しておくことをお勧めします。これに通っているかどうかによって先方の出方が全然違ってくるからです。

住信SBIネット銀行は店舗での申し込みも受け付けています。

資金繰り面の比較

(単位:円)

2200万円 三井住友信託変動金利0.59% 住信SBIネット銀行20年固定1.11% 差異
毎月返済 57,732 61,330 -3,598
ボーナス月の増額分返済額 145,429 154,627 -9,198
60歳残高 5,795,340 6,060,443 -265,103
住宅ローン控除 1,550,500 1,568,300 -17,800
  • 毎月の返済では3600円ほど上がります。
  • ボーナス月は9200円ほど上がります。
  • 60歳残高は26万5100円ほど上がります。

年収を鑑みるとそんなに大きなインパクトではないですね。住宅ローン控除も大して変わりません。

繰上げ返済は住宅ローン控除が終わってからにすることをお勧めします。また、十分に貯蓄が貯まってからがいいですね。こちら、ご参考にどうぞ。

変動金利の人は必見!「繰上げ返済貧乏」にならない為の繰上げ返済のコツを教えます-千日のブログ

借換費用のシミュレーション

(単位:円)

借り換え費用 三井住友信託変動金利0.59% 住信SBIネット銀行20年固定1.11% 差異
一括返済手数料 6,480 -6,480
戻し保証料 -339,042 339,042
印紙 20,000 -20,000
登録免許税 84,240 -84,240
司法書士 100,000 -100,000
事務手数料 454,896 -454,896
合計 0 326,574 -326,574

借換費用は約32万という結果になりました。詳しくはこちらをご一読ください。

借換と金利交渉のセオリー

戻し保証料の33万9千円は全額繰上げ返済の1カ月後くらいに返ってくるお金なので、借換にあたってはまず70万円くらいをキャッシュで用意する必要があります。

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

2200万円 三井住友信託変動金利0.59% 住信SBIネット銀行20年固定1.11% 差異
借り換え費用 0 326,574 -326,574
60歳まで返済額 17,705,556 18,813,852 -1,108,296
60歳残高 5,795,340 6,060,443 -265,103
住宅ローン控除 -1,550,500 -1,568,300 17,800
保証料払い戻し -18,238 0 -18,238
合計 21,932,158 23,632,569 -1,700,411

今の最安の20年固定に借り換えた場合、総額で170万円の支払い増になるという結果です。つまり、この170万というのが、金利を固定するための保険料のようなものですね。

今の銀行に金利交渉した場合、通常はこれよりも高い金利になります。借り換えには手間がかかりますので、その分を加味してすこし高めの金利を提示されるでしょう。おそらくシミュレーションしたら200万くらい支払が増えるような金利が提示されると思います。

回答④:変動金利の金利上昇リスクに備える貯蓄のレベル

では、変動金利のままで行くのか?ということになりますが、その場合は金利の上昇に対応できる貯蓄が無ければ心配ですよね。

ではいくら必要なのか?ということを計算してみました。千日のブログでも同様の記事があります。

(単位:万円)

変動金利0.6%から金利上昇したら繰上返済すべき金額
5年後 10年後 14年後
残高 1809 1353 978
0.6%→1.0% 66 37 20
0.6%→2.0% 217 124 66
0.6%→3.0% 351 202 109
0.6%→4.0% 470 274 149
0.6%→5.0% 575 340 187

この表の見方をご説明しましょう。

例えば今から5年後の残高は1809万円です。その5年後に変動金利が0.6%から2.0%に上がった場合、すぐに217万円を繰上げ返済すれば、そのまま今の毎月返済額(とボーナス払い)で完済できるというものです。

想定しうる金利の上昇では最大575万円、最小で20万円の繰上げ返済が必要という感じですよね。間をとると約300万円のキャッシュが随時あって、繰上げ返済に回せるなら金利変動リスクに対応できると言ってよいと思います。

率直に言って、変動金利の金利上昇リスクにも、十分対応できるのではないかと思います。

今の貯蓄のペースだと年間で56万円の貯蓄です。安全圏になるまでに5~6年くらいですね。前半はもう少しペースを上げた方が安心できると思いますよ。

まとめ~変動金利は上がる前提であると考えよう

変動金利は上がるのか?こればっかりは預言者かペテン師でないと回答できません。ただ言えることは、変動金利が低いのは銀行が自分の判断でいつでも上げることが出来る金利タイプだからです。

ということは、借りるこちら側としては以下の対応をするのがセオリーなのです。

  • 金利が低いうちは借りておく。
  • 金利が高くなったら繰上げ返済する。

この繰上げ返済するという能力が無いと、債権者の銀行や金利の動向に運命を左右されてしまうとても弱い立場に立たされるということになります。

金利を上げるかどうか決めるのは銀行です。そしてその決定要素になるのは金融市場やそれに影響を与える社会情勢です。

  • 安倍首相のアベノミクスの行方はどうなる?
  • 南北主脳会談で朝鮮半島を巡る情勢はどうなる?

わたし達にどうにかできる要素ではありません。

わたし達がコントロールできるのは、自分の貯蓄額ですよね。ですから、変動金利で借りているならば、借換の時期をどうするか?よりも前に、貯蓄を貯めていくことが優先事項なのです。

以上、参考になれば幸いです。

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