35歳年収590万の住宅ローンは住信SBI変動かスーパーフラット8Sか?

2020年2月17日

変動金利の最安と固定金利の最安どっちも借りられるならどうする?

私が「オススメの住宅ローンは何ですか?」という相談を受けた場合にお勧めする住宅ローンは、その人の年齢と収入、自己資金、購入する家の価格によって様々です。

中でも割と多いのが変動金利では住信SBIネット銀行かauじぶん銀行、固定金利ではアルヒスーパーフラット8です。

その理由は最長の35年で借りて、定年までに繰上げ返済するという基本の住宅ローンの返済計画に乗せたときに、その金利タイプの中で支払総額が最小になることが多いからです。

おりしも住信SBIネット銀行はさらに変動金利を引き下げましたね!驚きました。

変動金利トップの住信SBIネット銀行が変動金利を引き下げ!三井住友信託銀行の狙いは?今後は0.3%台もある?|千日のブログ

その反面、それぞれ注意点もあります。

住信SBIネット銀行やauじぶん銀行はネット銀行の特徴としてあまり融通がききませんし、審査の基準も厳し目です。

そして、アルヒのスーパーフラット8は物件価格の2割の頭金が必要となります。一般的な住宅を前提とすれば、1千万円くらいの現預金を家の購入に使う必要があります。そんな現金を用意できる人はちょっと限られていますよね。

そんな住信SBIとスーパーフラット8のどっちも使える場合は、どっちにすべきなのか?

というのが、今日のご相談者です。
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相談:35歳年収590万円、住信SBIの変動か?アルヒスーパーフラット8Sか?

居住予定の家族の年齢と年収 ・私:35歳 590万
・妻:38歳 520万
(現在産休中、産休後育休取得予定(最大2020年3月まで))
・長女:0歳
自己資金の額 最大1200万円
(上記以外に保険支払い分として約800万円あり)
物件価格 5260万円(物件本体+分譲駐車場)
物件のタイプ 新築マンション2019年3月完成引き渡し
借入予定額 4,208万~4,734万
住宅ローン ①アルヒスーパーフラット8S:5年間0.78%、その後1.03%(手数料0.45%)

②アルヒスーパーフラット9S:5年間0.83%、その後1.08%(手数料0.45%)

➂住信SBIネット銀行変動:0.42%(手数料2.2%)
※他で保険に入っているため、団信は付けません。

相談内容 住信SBIネット銀行の変動か、アルヒスーパーフラット8Sか、千日さんのご意見を聞かせて頂ければと思います。
また、スーパーフラット9Sの場合、いくら繰り上げ返済をすればスーパーフラット8Sと同じ総額で借りることができるでしょうか?

回答①:団信に加入しないならアルヒスーパーフラットは0.28%引き下げとなるのでお勧め度が上がる

変動金利か固定金利か?という選択は質の面と量の面から考えていきます。質的な面としては金利変動リスクを負うか負わないか?ということですね。

こちら基本の考え方になりますのでご一読ください。

住宅ローンのセオリー

金利タイプ選びのセオリー

また、35歳という年齢からは次の2つの千日のブログがお勧めです。

2018年に30代前半までに借りる住宅ローンは変動金利か固定金利か?決め方を解説 |千日のブログ

2018年に30代後半~40代前半で借りる住宅ローンは変動金利か固定金利か?決め方を解説|千日のブログ

丁度この狭間におられますね。

また、今回は特にアルヒのスーパーフラット8を使えるケースで団信に加入しないケースです。団信に加入しない場合、アルヒのスーパーフラットは通常のフラット35よりもお得になります。

アルヒスーパーフラットは保証型というもので、団信に加入しない場合は0.28%の引き下げになります。

これが普通のフラット35になると買取型ということになるんですが、団信に加入しない場合は0.2%の引き下げなんですよ。

つまり、団信に加入しないことで0.08%得なんですよね。さらにスーパーフラット8は0.1%引き下げになりますから、合計で全期間にわたり0.18%の引き下げになります。

また、今回は「S」ということで当初の5年間は0.25%引き下げになります。

なので、フラット35を選んだ場合のお得度がすごく高いです。

これに対して住信SBIネット銀行の方は提携ローンの特別金利で0.42%ということですが、ホームぺージで公開されている金利は0.447%ということで0.027%低いだけなんですよね。金利引き下げ幅が小さいです。

加えて、団信への加入が義務となっていますので、生命保険がダブついている状況になります。

この金利の条件面、生命保険のダブりという面で、主に量的側面からアルヒスーパーフラットの方がよりお勧めです。

また、長期金利が上がりそうな局面ですが、フラット35は国の政策上ある程度抑えられると考えられます。

長期金利が急上昇!民間銀行の長期固定金利で住宅ローンを借りる人はどう備えるべきか? |千日のブログ

では、実際に金額でどうなっているのか?シミュレーションで比較してみましょう。

回答②:シミュレーションで比較します

では実際に3つの比較をしてみましょう。

  • ①アルヒスーパーフラット8S:5年間0.78%、その後1.03%(手数料0.45%)
  • ②アルヒスーパーフラット9S:5年間0.83%、その後1.08%(手数料0.45%)
  • ➂住信SBIネット銀行変動:0.42%(手数料2.2%)

①は頭金2割、②と➂は頭金1割とします。

35年の元利均等返済ボーナス払いとし、定年の60歳で一括返済するという前提を置きました。

これで、資金繰り面の比較、借入費用の比較、総支払額の比較をシミュレーションします。

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

①スーパーフラット8S

4208万円

②スーパーフラット9S

4734万円

➂住信SBI変動

4734万円

5年毎月返済 114,520 129,916 121,221
6年以降返済 118,026 133,884 121,221
60歳残高 13,452,594 20,265,713 19,396,161
住宅ローン控除 3,606,500 3,882,700 3,855,900

①に対して②➂の毎月の支払額が多いのは、借り入れ額が多いというのが主な理由です。

ご主人の年収590万の月収を約25万とすると、概ね10万円位が適正範囲なのでちょっとオーバーしていますね。そこは基本的に奥様との2馬力で返済するということで乗り切る感じかと思います。

奥様が産休に入っている間の返済はキツくなること、また出産のリスクということで考えると、毎月の返済は低く抑える方が安全かなと思います。

60歳(定年時)残高は1000万円以下にすることを推奨しています。どれもオーバーしていますが、より①の方が超過が少な目となっていますね。

資金繰り面の安全性という観点からは、2割の頭金を入れられるならば入れて、その後の毎月返済額、定年時残高を低く抑えることをお勧めします。

借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

①スーパーフラット8S

4208万円

②スーパーフラット9S

4734万円

➂住信SBI変動

4734万円

印紙 20,000 20,000 20,000
登録免許税 42,080 47,340 47,340
保証料 0 0 0
事務手数料 189,360 213,030 1,022,544
司法書士報酬 100,000 100,000 100,000
フラット36物件検査手数料 64,800 64,800 0
合計 416,240 445,170 1,189,884

借入費用では、アルヒスーパーフラットと住信SBIネット銀行で大きな差が生じました。

これは事務手数料率が以下のようにアルヒの方が安いからです。

  • アルヒ:0.45%
  • 住信SBI:2.2%

通常はアルヒのスーパーフラットの手数料は2.2%で住信SBIと差が無いのですけど、提携ローンの特典ということですね。これによって手数料に80万円もの差が生じました。

借入費用という面もアルヒスーパーフラットに軍配が上がります。

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

①スーパーフラット8S

4208万円

②スーパーフラット9S

4734万円

➂住信SBI変動

4734万円

頭金 10,520,000 5,260,000 5,260,000
借入費用 416,240 445,170 1,189,884
60歳まで返済額 35,197,440 39,927,120 36,366,300
60歳残高 13,452,594 20,265,713 19,396,161
住宅ローン控除 -3,606,500 -3,882,700 -3,855,900
合計 55,979,774 62,015,303 58,356,445

総額でも①のスーパーフラット8Sが最小となりました。

金利変動リスクを負わない状態でなおかつ、総支払額でも最も有利となるのですね。

ただし頭金を多く入れる分、貯蓄が減ってしまいます。間をとってスーパーフラット9Sという選択肢も考えられますね。

そこで、考えられるのが次の比較ですよね。

  • 最初から頭金を2割入れてアルヒスーパーフラット8Sにするか?
  • 最初は頭金1割でアルヒスーパーフラット9Sとし、住宅ローン控除が終わった10年後に繰上げ返済するか?

そこで、スーパーフラット9で幾ら繰上げ返済すればスーパーフラット8と同じ支払額になるのか?というのが知りたくなるのです。

回答➂:スーパーフラット9で幾ら繰上げ返済すれば「8」と釣り合うのか?シミュレーション

結論を先に書きましょう。以下の条件で総支払額は同じになります。

  • アルヒスーパーフラット8Sで頭金は1,052万円とする。
  • アルヒスーパーフラット9Sで頭金は526万円、そして10年後に850万円を繰上げ返済(返済額軽減型)する。

つまり、最初に頭金を526万円温存してアルヒスーパーフラット9Sとした場合、10年後には850万円繰上げ返済してやっと、アルヒスーパーフラット8Sと同じになるのです。

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

スーパーフラット8S スーパーフラット9S

10年後850万

差異
頭金 10,520,000 5,260,000 5,260,000
借入費用 416,240 445,170 -28,930
60歳まで返済額 35,197,440 42,605,515 -7,408,075
60歳残高 13,452,594 11,545,162 1,907,432
住宅ローン控除 -3,606,500 -3,882,700 276,200
合計 55,979,774 55,973,148 6,626

まず先に総支払額の比較から見てみましょう。「アルヒスーパーフラット8S」と「アルヒスーパーフラット9Sで10年後に850万円を繰上げ返済」した場合との総支払額の差はわずか6,626円ですね。

10年後に繰上げ返済する理由は、当初10年は住宅ローン控除があるため、ローン残高は多くしておいた方が得だからです。

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

スーパーフラット8S スーパーフラット9S

10年後850万

差異
頭金 10,520,000 5,260,000 5,260,000
5年毎月返済 114,520 129,916 -15,396
6年以降返済 118,026 133,884 -15,858
10年後繰上返済 0 8,500,000 -8,500,000
11年以降返済 118,026 101,542 16,484
60歳残高 13,452,594 11,545,162 1,907,432
住宅ローン控除 3,606,500 3,882,700 -276,200

スーパーフラット9Sで繰上げ返済する場合、頭金としては526万円少なくして貯金を温存できます。

しかし、毎月支払い面では1万5千円負担が大きくなる上で貯蓄をして、10年後には850万円を繰上げ返済するということですね。

繰上げ返済すれば、元本が減る分毎月の返済額は1万6千円軽くなります(返済額軽減型)。そして60歳の定年時の残高は190万円少なくなります。

つまり、当初の10年間の資金繰りが厳しくなり、10年経って繰上げ返済が成功すれば、後が楽になっていくというプランになりますね。

繰上げ返済は早期にした方が利息を減らすことが出来ます。つまり、頭金は究極の繰上げ返済なんです。頭金を入れることで金利も下がる「8」という商品がいかに支払面で有利かということが分かりますよね。

なお、詳しい条件は以下のようになります。

商品名 (通常のフラット35との金利差) 頭金(手持金) 返済負担率
スーパーフラット8 (金利▼0.10%) 2割以上 30%以内(年収400万円未満) 35%以内(年収400万円以上)
スーパーフラット9 (金利▼0.05%) 1割以上 20%以内

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以上、参考になれば幸いです。

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