バイトに収入が左右される大学病院勤務医師の住宅ローンは?

2018年10月9日

医師はバイトのほうが高収入?世間のイメージと実態の違い

 

医師といえば、私たちにとって身近な「高収入で憧れの職業」の一つでもあります。しかし、その働き方の実態は、意外と知られておらず、本人としては厳しいと感じる人が多いです。

例えば、大学病院で働く勤務医の正職員としての大学からの給与は年収に換算して700万~800万円で頭打ち。教授になっても同1200万円程度までだと言われます。

というのも、国立大学病院の場合、給与は他の一般の大学教員と同じだからです。ただし私立の大学病院には差があるようです。

そんな大学病院の医師が普通の職業より稼いでいないかといえば、それは違います。アルバイトによって、常勤で得られる収入がかなり補われているのです。

医師免許を持ってさえいれば、かなりおいしいバイトにありつける。相場は半日で5万円。産業医としての企業訪問、胃カメラなど各種検査、献血カーでの問診、夜間の当直と、内容は多岐にわたります。

中でも当直医は、救急患者が来る病院だと1泊で10万円程度になることもあるそうです!

すごいですよね!

しかしこれらの収入はあくまでパートタイムでの時給の収入なのです。つまり、ずっとあるとは限らないですし、シビアな需要と供給の関係で安定して入ってくるとは限らない収入なんですよね。

今はたまたま収入があるけど、それがずっと続くとは限らない…という不安があるのです。

今日はそんな大学病院勤務の歯科医師からのご相談です。

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相談:不安定な大学病院勤務医師ではどんな住宅ローンを組むべきですか?

ある住宅ブログに千日さんのブログがおすすめと載っていて拝見させていただきました。

現在、分譲地の条件付き土地で注文住宅を検討中で見積もりの結果待ちなのですが、住宅ローンの金利について、借入額についてご相談させていただきたくメールを送らせていただきました。

また、仕事上不安定な要素があるところも心配しています。

家族の年齢と年収 自分34歳。歯科医師。去年の年収は1100万。
妻33歳。妊娠中。パート勤務ですが退職予定。
自己資金の額 250万。(頭金には100万+親からの援助100万予定)引渡しまでにさらに200万の貯蓄を予定。
物件価格 土地1800万円+住宅(見積もり中)
物件のタイプ 注文住宅
2019年4〜6月完成で1年間のモデルハウス貸し出し予定で2020年4月頃引き渡し予定。
借入予定額 4500万〜5000万
住宅ローン 工務店の提携ローンは無く、地銀の当初固定金利(3年固定か10年固定)かフラット35で検討中。
相談内容 仕事上不安定な要素があり、住宅ローンの借入額と金利タイプはどれがよいか悩んでおります。

自分の仕事は歯科医師ですが、公立大学病院勤務でありいわゆる「医局」に所属しております。卒後10年であり現在は医局のスタッフ、いわゆる大学の正職員で公務員扱いです。

正規職員と言っても公立大学の先生と同じ身分なので、バイトで稼いでいる状態です。

また、「医局」の特徴として定期的な配置転換として関連病院への転勤があります。

また、医局に一生属する予定はなく、勤務医として一般歯科医院への勤務や、場合によっては歯科医院の開業の可能性もあります。

このような不安定な状況で住宅ローンを組む場合、どのようなタイプを選ぶのがベストでしょうか?ご教授いただけますと幸いです。

回答①:将来への不安がある場合、将来にリスクを取る場合は長期固定金利をお勧めします

30代で年収1000万円を超えており公務員の正職員ですので、自ら退職しない限りは収入が保証されています。

不安定であるという感覚はかなり高いレベルでの不安定であり、住宅ローンを借りる人という母集団の中ではかなり安定した部類に入ります。

安定しているか不安定かということは、あくまで主観なんですよね。少なくとも住宅ローンを貸す銀行の見方としてはかなり安定しているという風に見られています。

審査上は高度な専門的技能を有している職業については、条件が緩和されたり、保証料率が安くなったりするのですが、医師、弁護士、公認会計士などはその代表ですね。私もその中の一つである公認会計士の資格を保有していますが、監査法人に居た頃に「安定している」と考えていたかというと否です。

会計士が監査という仕事に対して感じている行き詰まり感とは違うと思います。

ただ、高度な専門的技能がありながら、パートタイム(時間給)という形でしか評価されていないというのは、それがいかに高いとはいえ、少し歪んでいる感はありますね。

アルバイトである以上は、今と同じ条件でずっとあるとは限らないです。

ならば、表題にもありますが固定金利をお勧めします。

  • ずっと公務員として働き、バイトが減る(無くなる)可能性もある。

収入が保証されている固定給を前提として固定金利で返済できるようにしておけば、不安定な収入の部分で心配する必要は無くなります。

  • また、将来的に開業するのが最もリスクを取るプランです。

収入面でリスクを取るならば、固定的な支払となる住居費ではリスクを取らない方が良いです。

開業しようというタイミングで金利が上がったら、毎月の返済が増えます。開業資金や開業直後の資金繰りに影響する可能性が出てきます。

将来開業する可能性があると言われている医師の方には固定金利をお勧めしています。

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年収1千万超の勤務医の開業も考えた住宅ローンシミュレーション

では具体的な住宅ローンの検討をします。

公務員としての手取り月収で確実に返済できる金額は?

千日は「無理なく完済できる住宅ローン」をシミュレーションするために、4つのルールを提唱しています。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

ただし、1.毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなしというのは、一般的なサラリーマンの年収である800万円位までを上限にしています。1000万円を超えると必ずしも手取りの4割以下にしなくても、余裕で食べていけるからです。

医師などで年収が1000万を超える人は必ずしもこれに当てはめる必要は無いですが、将来のリスクを出来るだけ取らないプランで行くのであれば、バイト収入を差し引いた公務員の収入でこのルールを適用するようにします。

それを当てはめて、借りられる住宅ローンを簡易に出せるようにしたのが以下の表です。
(単位:万円)

 年齢/月収 15万 20万 25万 30万 35万 40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

公務員としての手取り月収だけであれば、月収35万~40万が一番近いところでではないでしょうか?年齢では35歳のところですね。

ということは、4125万円~4714万円です。

ご相談では4500万円~5000万円の借入で考えておられますので、自身の肌感からかなり良いセンを数字として出されていたのですね。

この一覧表では4125万円と4714万円の間くらいということで、4500万円前後の借入とすることをお勧めします。

10年までの当初固定金利は後半にリスクを取る「変動金利」なのでお勧めしません

変動金利と固定金利の本質的な違いは、住宅ローンの利用者と銀行のどちらが金利変動リスクを負うか、の違いです。

金利タイプ 説明
変動金利 金利変動リスクを自分が負う。
固定金利 金利変動リスクを銀行が負う。

例えば10年固定金利というのは、以下のような解釈になります。

  • 予測出来る始めの期間は現在の金利水準で銀行が利ザヤを取れるような金利で固定する。
  • 予測出来ない後半の期間はその時になってから銀行が利ザヤを取れるような金利を決める。

わたしに言わせれば、10年固定は正確な表現ではありません。

借入期間に亘ってずーっと金利が固定しているものだけが固定金利なのです。つまり、10年固定金利は変動金利です。金利変動リスクに対しては、利用者が負うのでその準備をしておく必要があります。

そして、一般的に当初固定金利は固定期間が終わった後の金利が高くなる傾向があります。

例えば今回検討されている地銀の当初固定金利は、以下のような仕組みになっています。

当初固定期間 終了後は店頭基準金利から 基準金利(変動) 適用金利(変動)
3年  0.7% -1.50% 2.675% 1.175%
10年 1.05% -1.50% 2.675% 1.175%

3年固定は当初3年間は0.7%で固定されますが、固定期間の終了後は店頭基準金利から1.50%引き下げとHPに表記されています。

その店頭基準金利って何なのか?同じページには書いてないんですが、別のページを探して開くと、基準金利は2.675%(変動金利)ということが分かるのです。基準金利は変動金利が最も低いです。

ですから、2.675%から1.5%引き下げで1.175%になるということが分かります。今の変動金利としては、かなり高いです。

しかも、この基準金利は3年後に上がっている可能性もあるんですよね。それは3年後になってみないと分かりません。

今はマイナス金利政策によって、固定金利が低いです。次の二つの長期の固定金利から選ぶ方が確実に安く借りることが出来ると思います。

回答②:お勧めは超長期固定金利のフラット35か民間銀行なら30年固定金利

お勧めする長期の固定金利は2つです。

第1候補は公的融資のフラット35ですね。アルヒ㈱のスーパーフラット8は2割の頭金を入れることで、フラット35の金利から全期間で0.1%引き下げになる商品です。さらに建物の耐震性能やバリアフリー性能が一定以上の水準であれば「S」の適用があり、当初5年or10年間にわたり0.25%金利が引き下げとなります。

この二つを組み合わせたのが「アルヒスーパーフラット8S」であり、2018年10月時点において、35年固定金利の中では総支払額では最も少なくなる住宅ローンです。

第2候補は三井住友信託銀行の30年固定です。現在34歳ですので公務員としての定年までに完済するプランでいくなら26年間の固定期間で必要十分です。これに近い固定期間の30年固定で民間銀行の中で一番低い金利を出しているのが三井住友信託銀行です。

三井住友信託の住宅ローンには「保証料型」と「手数料型」の二つがあり、手数料型の方が0.05%低い金利です。

保証料型は最初に保証料を前払いするもので、この保証料は期日前に全額繰上げ返済すると、残期間に応じた返金があります。手数料型は文字通り手数料なので全額繰上げ返済しても返金されません。なので金利面では手数料型の方が若干低い設定となっています。

今回は手数料型をお勧めしています。固定期間の最後の方に繰上げ返済するので、返金される保証料が少ないため、それだったら金利の面で低い金利で借りた方が得になるからです。

超長期固定金利 当初10年 その後 融資手数料
アルヒスーパーフラット8S 1.06% 1.31% 2.16%
三井住友信託銀行30年固定(手数料型) 1.20% 2.16%
  • 借入金額は余裕のある4500万円。
  • 返済期間は35年、元利均等返済でボーナス払いなし。

上記を共通条件として以下の3つの切り口から比較していきます。

  1. 資金繰りの比較シミュレーション
  2. 借入費用の比較シミュレーション
  3. 総支払額の比較シミュレーション

資金繰りの比較シミュレーション

(単位:円)

4500万35年 アルヒスーパーフラット8S 三井住友信託銀行 差異
毎月返済 128,290 131,266 -2,976
11年目~ 132,169 131,266 903
60歳残高 13,458,026 13,431,660 26,366

月収35万円~40万円とすると、その4割は14万円~16万円です。なので、毎月の返済額はレンジ内に入っていますね。

60歳残高は1343~1345万円です。1000万円を超えていますが、これから60歳までの間であれば無理なく貯められる金額でしょう。

借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

4500万35年 アルヒスーパーフラット8S 三井住友信託銀行 差異
印紙 20,000 20,000 0
登録免許税 45,000 45,000 0
保証料 0 0 0
事務手数料 972,000 972,000 0
司法書士報酬 100,00 100,000 0
合計 1,201,800 1,137,000 64,800

借入費用については、両者に大した差はありません。なお、これ以外に家の購入にかかる手数料も必要です。

現在の自己資金であれば、フルローンになってしまいます。頭金2割であれば1000万円くらいの貯蓄が必要となってきますが、2020年の引き渡しまでに2年ありますので、あと200万と言わず、もう少し貯められるのではないかと思います。

現在250万+引渡しまでに200万の貯金というプランですが、ちょっと目標が低いように思います。

現在250万+引き渡しまでに800万円で合計1050万円の自己資金を目標としてみてください。

アルバイトの分と公務員収入のボーナスに手を付けなければ、十分に可能な貯蓄です。

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

4500万35年 アルヒスーパーフラット8S 三井住友信託銀行 差異
借入費用 1,201,800 1,137,000 64,800
60歳まで返済額 40,771,248 40,954,992 -183,744
60歳残高 13,458,026 13,431,495 26,531
住宅ローン控除 -3,801,500 -3,811,600 10,100
合計 51,629,574 51,711,887 -82,313

トータルでは三井住友信託銀行の30年固定が8万円安くなるという結果になりました。誤差の範囲内ですので、どちらも概ね同じと言えるでしょう。

アルヒスーパーフラットと三井住友信託の両方で審査を通しておく

現時点のシミュレーションでは、三井住友信託銀行の方が有利という結果になりましたので、まず事前審査に出してみることをお勧めします。

信託銀行については、あまり馴染みが無いかもしれません。こちらご一読くださいませ。

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また、現在は長期金利が上昇傾向にともなって民間銀行の住宅ローンも上昇基調にあります。三井住友信託銀行の30年固定も例外ではありません。

なのでフラット35についても候補に入れておき、そのときに有利な方で借りるのが良いでしょう。

フラット35を取り扱う金融機関は数多ありますが、アルヒ㈱は本審査のスピードが早いことでも有名です。最短3日です。

例えば千日のフラット35金利予想で急きょフラット35が下がることが分かり、フラット35で借りたい!となったときに、唯一間に合う可能性があるのがアルヒです。

特に長期金利が不安定な今のタイミングに住宅ローンを長期固定で借りる人にはフラット35も候補に入れて事前審査を通しておくことをお勧めしています。

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ネット銀行だと電話と郵送での対応となりますが、アルヒは全国175の店舗があり、対面で相談できるのが魅力です。

店舗相談の予約はこちらから☟

無料相談の感想を頂きました!

後日、千日の回答に対するフィードバックを頂きました。

ありがとうございます。
早速拝見させていただきました。借入額としては妥当なのですね。良かったです。
あとはローンの件ですが、どちらも魅力的ではあります。
よく検討してみます。再度不明な点があればご相談させてください。

こちらこそありがとうございました!

なお、モデルハウスに出すことによる値引き交渉についてもご質問を頂いていました。

それを入れると記事のテーマとしてブレてしまうのと、あまりに文字数が多くなってしまうため別途、千日のブログで回答しています。

注文住宅を完成後にモデルハウスとして貸し出すと値引き出来る⁉注意点と値引きの交渉方法 |千日のブログ

合わせてご一読くださいね。

以上、参考になれば幸いです。

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