30代共働き夫婦がペアローンで住宅ローン控除の恩恵をマックスに受ける割合

2018年10月13日

今後主流になる共働きを前提にした住宅ローンの最適な組み方

 

まだまだ日本は男性社会ですが、それでもかなり女性が働きやすい社会になってきています。同時に、終身雇用制はそろそろ賞味期限を迎え、正職員と臨時職員の垣根を低くしていくトレンドになっています。

昔なら男が外で働き、女は家を守るというのが合理的な役割分担だったのですが、その有り方についても新しい形が定着していくのでしょう。

住宅ローンについては、今後は共働きでの収入を前提とした返済プランのセオリーが必要ですね。

しかし、住宅ローン(住居となる不動産に抵当権を設定した金銭消費貸借契約)の法的な取り扱いとしては、夫婦はそれぞれ別個の人間であり、財産も別々です。住宅ローン契約もあくまで夫婦のどちらかを相手に契約が結ばれます。

そこでペアローンというものがありますが、これは夫婦それぞれが個人として住宅ローンを借りて、お互いの債務を連帯保証するというものです。

これによって夫婦それぞれが債務を負い、住宅ローン控除(一般の新築住宅で上限40万)を夫婦がそれぞれ受けられるので、上限が最大80万円まで受けられるというメリットがあるんですね。

へえ、なるほどね。いいじゃん。

と思った人はオメデタイですよ。これって結局は、個人単位の契約のまま、それに加えて相互に連帯保証するという余分な責任を付加されているのです。

住宅ローンを夫婦協力して返済することと連帯債務(保証)は別モノと心得よう |千日のブログ

なので、ペアローンで住宅ローンを組む場合は、連帯保証が夫婦お互いにとって重すぎる責任にならないか?をよくよく考えて決める必要があります。

今後50:50の共働き夫婦が住宅ローンの主流になる!年収と世帯年収のギャップでリスク増大 |千日のブログ

では、今日のご相談者です。

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相談:共働き夫婦のペアローンのベストな割合は?

千日さんの本を読ませて頂き、メールさせて頂きました。よろしくお願いします。

居住予定の家族の年齢と年収 私(夫)36歳 公務員 年収650万
妻 33歳 公務員 年収450〜600万育休中、2019年4月より復帰予定
長女2歳9ヶ月、長男0歳6ヶ月
自己資金の額 300万円
物件価格 5180万円
物件のタイプ 新築マンション2019年4月引き渡し予定
借入予定額 4880万円
住宅ローン 変動金利のペアローンで、私のローンはボーナス払い併用も考えております。
千日さんの本も読ませて頂きました。金利が上がった時にも対処できるよう貯蓄と繰り上げ返済を計画中です。
住信SBI変動 0.42%(提携ローン優遇金利)
京都銀行変動 0.525%(提携ローン優遇金利)
じぶん銀行変動 0.457%(提携なし)
相談内容 ①夫婦でこの金額を借用した場合、どの程度の割合にすれば住宅ローン控除適用が大きくなるでしょうか?
住信SBIネット銀行は金利の低さで魅力、京都銀行はがん診断保険金特約で全額免除が魅力、じぶん銀行はガン50%保障に魅力を感じております。どれがおすすめですか?

妻の親も私の親もガンになっており、妻はかなりこの点を心配しております。

もちろんガンと診断される平均年齢の頃にはローンの返済は進んでいるかと思うので、その保険料にしては高いのか?など判断に悩みます。

ちなみに、契約物件ではじぶん銀行は提携していません、その場合は手続きがかなり煩雑になりますか?

以上、千日さんのご意見頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

回答①:まずペアローンの連帯保証のリスクを金額で把握する

共働きの住宅ローンの組み方としては、収入合算とペアローンがあります。それぞれ法的な形式は異なりますが、共通するリスクがあります。

夫婦で一緒に一つの住宅ローンを借りる(収入合算) 夫婦それぞれで住宅ローンを借りる(ペアローン)
義務

住宅ローン

(共通リスク)夫婦それぞれが銀行に対して住宅ローン全額の責任を負っている。
夫が主債務者、妻が連帯債務者となった場合、妻もまた夫と連帯して住宅ローンの全額を返済する責任がある。 夫婦が互いの債務を連帯保証する。つまり夫婦がそれぞれ全額を返済する責任がある。
権利

所有権

(共通リスク)持分割合で登記しても、家を二つに分割できるわけじゃない。
それぞれが返済する割合に応じた持分割合で所有権を登記する。 それぞれのローンの割合に応じた持分割合で所有権を登記する。

義務の面では、たとえ夫婦間で債務の割合を決めたとしても、銀行は無差別に請求できるので結局、住宅ローン全額の責任を負っているのと同じことです。

権利の面では、所有権の割合を定めたところで家は分けられません。自分の持分だけ売却し、自分のローンだけ返済してリセットすることができないというリスクがあります。

つまり、夫婦のそれぞれが単独で住宅ローン全額の責任を遂行する返済能力があるのなら夫婦ともに連帯保証(連帯債務)のリスクに耐えうるということです。

もし片方が能力不足だった場合は能力不足の方が過大なリスクを負うことになります。両方が能力不足というケースももちろんあります。

では、夫婦それぞれで判定しましょう。

著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本にもあった年収と年齢で、無理なく返済できる住宅ローンを見積もる4つのルールです。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

これをザックリ当てはめて無理なくへ完済できる住宅ローンの金額を出すと以下のようになります。

(単位:万円)

 年齢/月収 15万 20万 25万 30万 35万 40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%

夫36歳月収28万円→2972万円~3535万円

妻33歳月収20万円~26万→2663万円~3329万円

借入金額は4880万円ですので、夫婦両方ともレンジを超えています。夫婦としては返済可能ですが、それぞれの個人としては身の丈を超えた住宅ローンになっています。それも少なくない金額です。

なので、私であれば住宅ローンの金額をせめて4000万円位に抑えた上で夫婦ともに昇給を目指します。

また、ボーナス払いを検討されていますが、返済のリスクを増加させてしまいますので、お勧めしません。詳しくはこちらをどうぞ。

今の自分の年収から身の丈を超えた家を買うにはボーナス払いか?

回答②:まず夫の住宅ローン控除の上限を使い切り、足らずを妻が借りる

住宅ローン控除の上限は2つあります。住宅の種類による上限所得による上限です。

住宅の種類による控除の上限は以下のように定められています。

  • 一般の住宅:最高40万円(売主が個人で消費税が非課税の場合20万円)
  • 認定長期優良又は低炭素住宅:最高50万円

そしてもう一つの上限は所得による上限です。所得によって納める税金以上に税金が控除されることはありません。

税込み年収と住宅ローン控除の上限とそれに相当する年末借入残高は以下のようになります。

税込年収⇒控除上限(年末借入残高)

  • 200万円⇒9万円(900万円)
  • 300万円⇒17.5万円(1,750万円)
  • 400万円⇒22.2万円(2,220万円)
  • 500万円⇒27.5万円(2,750万円)
  • 600万円⇒34.1万円(3,410万円)
  • 700万円⇒40.0又は45.2万円(4,000万円又は4,520万円)
  • 800万円⇒40.0又は50.0万円(4,000万円又は5,000万円)

上記は、あくまで目安です(扶養控除などは加味していません)。正確には源泉徴収票と納税証明書でご自身の納税額を確認してください。もしくは少し余裕をとってご利用ください。

共働き夫婦の場合、子育てで休職しなかった方、つまり今回はご主人の方でまず満額使い切り、足らずを妻の方で借りるという方法がムダが無いはずです。

奥様の復帰は2019年4月からですので最初の2019年度は8か月分の給料となってしまうため、所得税(プラス翌年の住民税)も少なくなるということもあります。

回答➂:ガン団信は50%のじぶん銀行か全額保障の京都銀行か?保険料を金額に換算してみます

金利の安さという点では住信SBIネット銀行も魅力がありますが、じぶん銀行と京都銀行の変動金利もベースが低いので金利の低さだけで決め手にはならないかと思います。

金利と団信の特約を並べて見ました。

銀行 変動金利 団信特約
住信SBIネット銀行 0.42% 全疾病保障
じぶん銀行 0.457% ガン50%保障
京都銀行 0.525% ガン全額保障

金利は小数点第2位の差です。ならば団信特約で特に不安のあるガンをカバーする方が合理的だと思います。

ということで、じぶん銀行と京都銀行でガン50%保障とガン全額保障の差額を計算してみましょう。

前提条件

  • 借入金額:4880万円
  • 借入期間35年、元利均等返済ボーナス払いなし
  • 60歳の定年時にそのときの残高を全額繰上げ返済する

これで以下の3つの比較シミュレーションを行います。

  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 借入手数料の比較シミュレーション
  3. 総支払額の比較シミュレーション

1.資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

4880万円35年 じぶん銀行0.457% 京都銀行0.525% 差異
毎月返済 125,752 127,217 -1,465
10年後残高 35,644,042 35,759,427 -115,385
60歳残高 16,186,002 16,313,580 -127,578
住宅ローン控除 4,161,300 4,168,400 -7,100

返済の資金繰りについては「夫婦で協力する」という前提ですので、夫と妻の持分を別々に分けて考えるということはしません。支払は世帯収入で行うためです。

じぶん銀行と京都銀行の金利差は0.068%ですが、それを毎月の返済額の差にするとこの程度のものだということです。10年後残高(折り返し地点)、60歳残高ともに結論に影響するような差ではありませんね。

2.借入手数料の比較シミュレーション

(単位:円)

4880万円35年 じぶん銀行0.457% 京都銀行0.525% 差異
印紙 20,000 20,000 0
登録免許税 48,800 48,800 0
保証料 0 1,005,768 -1,005,768
事務手数料 1,054,080 54,000 1,000,080
司法書士報酬 100,000 100,000 0
合計 1,222,880 1,228,568 -5,688

じぶん銀行は事務手数料率2.16%であり、京都銀行の方は保証料の前払いとなっています。トータルで差異はほとんどありません。

ただし、事務手数料は繰上げ返済した場合に返金されませんが、保証料は残期間と残高に応じた返金があります。

3.総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

4880万円35年 じぶん銀行0.457% 京都銀行0.525% 差異
借入費用 1,222,880 1,228,568 -5,688
60歳まで返済額 36,216,576 36,638,496 -421,920
60歳残高 16,186,002 16,313,580 -127,578
住宅ローン控除 -4,161,300 -4,168,400 7,100
保証料払い戻し 0 -47,629 47,629
合計 49,464,158 49,964,615 -500,457

総支払額では50万円じぶん銀行の方が安くなりました。つまり、ガンと診断された場合に50%保障される保険料と100%保障される保険料の差が50万円ということです。これは完済までの288か月で割ると月あたり1,737円ですね。

  • スタートの残高:4880万円の50%=2440万円
  • 定年時の残高:1618万円の50%=809万円

つまりガン診断時の見舞金として上記の保険金が余分に出る保険です。それが毎月1,737円ということですね。

私なら提携ローンとしては京都銀行ですすめますが、2019年4月の実行までにはまだ時間がありますので念のためにじぶん銀行と公的融資で超長期固定のフラット35でも仮審査を通しておきます。

数か月あれば今と180度金融市場の状況がひっくり返ることは十分にあることですからね。

なお、じぶん銀行は提携が無いですが、提携が無くても何の問題もなく住宅ローンの審査を受けて実行できます。手続き上の違いは以下の通りです。

  • 提携ローンの場合、銀行と私たちの間に営業マンがいる。営業マンは銀行から必要な書類を聞いて私たちに用意するように言ってくる。
  • 提携ローンでない場合、銀行と私たちの間に誰もいない。銀行から必要な書類を言われて直接銀行に渡す(ネット銀行は郵送する)。

以上、参考になれば幸いです。

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