借地権の戸建て物件を購入する場合の住宅ローンは変動か固定か?

2018年10月28日

借地権の戸建てを購入する場合に住宅ローンの金利タイプはどう選ぶか?

 

敷地が借地権になっている住宅を購入するときは、期間の満了時には家を取り壊して土地を地主に返還しなければならない可能性があるということをハッキリ認識しておかなければなりません。

現在の借地借家法において、その期間は堅固建造物で30年以上、木造などの非堅固建造物で20年です。少なくともその期間使用する権利は認められますけど、期間到来後に更新するか更新しないかというのは、地主と自分との交渉で決まることです。

現時点で20年、30年後の自分がどうなってるか分かりませんし、まして地主さんがどう考えるか(そのときには子どもが相続しているかもしれません)も分かりません。

なので、更新しない場合に対応できるようなプランを立てておくということになります。

関連記事

借地権物件の住宅ローンで気を付けることは何ですか?

では今日のご相談者です。

広告

相談:借地権20年付き物件の住宅ローンは変動金利か35年固定金利か?

借地権の情報は少ないため、過去記事(「借地権物件の住宅ローンで気を付けることは何ですか?」)は非常に参考になりました。
その後、著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本も購入し住宅ローンについて勉強させていただいています。

居住予定の家族の年齢と年収 本人(34歳)、会社員、年収700万円(手取り30〜35万/月)
妻(37歳)、会社員、育休中、時短復帰後 手取り12万円/月 見込み
子(5歳、0歳)
自己資金の額 1,000万円

2021、2033年にそれぞれ500万円の満期保険金受け取り予定

物件価格 物件価格 5,300万円(諸経費込)
地代1.9万円/月、
更新料 150万円/回(6,250円/月 換算)
物件のタイプ 物件タイプ 建売戸建(非堅固建造物20年)2018年11月引き渡し
地主 個人地主(周辺一帯に土地を所有)
借入予定額 4,320万円
住宅ローン 仮審査内容(2018年10月時点)
みずほ銀行固定金利(35年) 1.420%
りそな銀行変動金利 0.470%
相談内容 変動金利での借り入れを検討しております。
考慮が足りていない点などありましたらご指摘いただけないでしょうか。
  • 地主の承諾書(抵当権設定承諾書)の都合で金融機関が大手都市銀行に限られている
  • 底地権に抵当権が設定できないためフラット35は利用できない
  • 立地の面で地主以外への売却または賃貸が見込める(できたらラッキーくらいに考えるようにしていますが・・・)
  • 2018年10月現在、当初固定20年で1.0%を切るものがない

などのことから変動金利にしようかと思っています。

変動金利で返済可能か?

変動金利で借りる場合のルール「2つの「四」」にあてはめました。

  1. 毎月返済額の4分の1を貯蓄する(金利が上がったときのため)。
  2. その4分の1の貯蓄と毎月返済額の合計を手取り月収の4割以下にする。

金利タイプ選びのセオリー

項目 金額
変動毎月返済 111,569
4分の1貯蓄 27,892
地代 19,000
更新料積立て 6,250
合計 164,711

月収35万円の4割は14万円なので、2万4711円オーバーしてしまいます。

2万7892円の貯金も確定拠出年金とつみたてNISAを夫婦ともにフルで利用しているため、やや厳しい状況ですね。

固定費の見直しを行いつつ、いざとなれば満期保険金もあるため資金繰りはOKではと考えています。考慮が足りていない部分があればご指摘いただけないでしょうか。

回答①:借地権物件に特有の地代や更新料の資金計画の考え方

最初に結論をいいます。

  • 地代:これが大きくなる場合は、他の支出を見直すなどの方法で対応します。
  • 更新料の積立:毎月返済する義務ではなく、更新のときにあれば間に合うお金ですので、毎月の資金繰りからは除外します(ボーナスでの積み立てでもいいですよね)。

借地権物件では、毎月の支払に地代がオンされます。また更新料もかかります。なので一見支払が多いように思いがちですけど、それは違うと思うのです。

マンションでは管理費がかかりますし、修繕積立金もかかります。例えば今回のご相談者の地代と更新料の積立金というものは、住宅ローンの返済とは別に必要な、マイホームの維持に必要な費用という意味で、マンションの管理費や修繕積立金に近いものだと言えます。

そして、住宅ローンが適正か判断するにあたっては、私は管理費や修繕積立金をあえて入れていません。

入れた方が良いのか?とも思いますけど、その支払の厳しさが全然違うからです。住宅ローンは抵当権が設定されていて、これが遅れる=払えないということはすなわち家を取り上げられるものですよね。

では修繕積立金や管理費はどうでしょう。もちろん払わないとダメですけど、それが遅れたら、抵当権を実行されて…というようなものではありません。どちらかというと水道代金や電気料金に近いものです。

もちろん、滞納していいということを言ってるわけではありませんよ。支払の優先順位のレベルが一段違うということです。

なので、借地権の物件の毎月の返済額が大丈夫か?というのを考える際には住宅ローンの金額だけで判断することとします。

回答②:借地権物件は変動か固定かのシミュレーション

では、仮審査の通ったみずほ銀行35年固定(1.42%)とりそな銀行変動金利(0.47%)でシミュレーションし、比較しましょう。

前提条件

  • 借入金額:4320万円
  • 借入期間35年、元利均等返済ボーナス払いなし
  • 60歳の定年時にそのときの残高を全額繰上げ返済する

これで以下の3つの比較シミュレーションを行います。

  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 総支払額の比較シミュレーション

借入費用は両者で大した違いが無いので割愛します。

1.資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

4320万円35年 みずほ35年1.42% りそな変動0.47% 差異
毎月返済 130,585 111,569 19,016
10年後残高 32,960,375 31,573,243 1,387,132
60歳残高 13,231,805 11,795,760 1,436,045
住宅ローン控除 3,730,900 3,655,200 75,700

毎月の返済額では変動金利の方が1万9千円安くなりますね。この差は結構大きいです。それもあって変動金利にされたのだと思います。

ではこれを比較してみましょう。

項目 みずほ35年1.42% りそな変動0.47%
変動毎月返済 130,585 111,569
4分の1貯蓄 0 27,892
合計 130,585 139,461

固定金利の方は金利が上がった場合のことを考える必要がありませんので4分の1の貯蓄を考える必要はありません。

手取り月収35万円の4割は14万円ですから、どちらもレンジ内にあるといえます。

ただし地代の1万9千円を入れると、どちらもオーバーしてしまいます。これについてはおっしゃるように固定費の削減、それと奥様が復帰された際の収入を財源と考えれば良いかと思います。

地代の19,000円は死活問題となる支出ではありません。

しかし、変動金利で金利が上がった場合に27,892円の支払い増に耐えられるか?はクリティカルな問題となりうるので優先順位としては先にすべきだと思います。

2.総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

4320万円35年 みずほ35年1.42% りそな変動0.47% 差異
借入費用 1,096,752 1,085,952 10,800
60歳まで返済額 40,742,520 34,809,528 5,932,992
60歳残高 13,231,805 11,795,760 1,436,045
住宅ローン控除 -3,730,900 -3,655,200 -75,700
合計 51,340,177 44,036,040 7,304,137

総額では金利の低い変動金利の方が730万円少なくなるという結果になりました。

もちろん変動金利は上がる可能性があるので絵に描いた餅ですね。金利がずっと上がらなかったらという条件付きの金額です。

なので、変動金利を考える場合というのは、逆に金利が上がった場合に対応できるか?ということです。

回答➂:変動金利が上がった場合に対応できるか?

それは、変動金利が上がったときに毎月の返済額を維持したまま予定の年数で完済するには、幾ら繰上げ返済すれば良いか?という物差しで測ります。

例えば4500万円を変動金利0.5%で35年元利均等返済で借り入れた場合、毎月の返済額は11万6813円です。金利があがってもこの11万6813円を維持したまま、当初の35年で完済するには、その時点で幾ら繰上げ返済すればいいか?という金額で測ります。

(単位:万円)

4500万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額
残期間 30年 25年 20年 15年
残高 3910 3298 2671 2028
0.5%→1.0% 273 194 127 74
0.5%→1.5% 520 373 247 144
0.5%→2.0% 745 538 359 210
0.5%→2.5% 949 690 464 274
0.5%→3.0% 1135 831 562 334
0.5%→3.5% 1305 961 654 392
0.5%→4.0% 1460 1082 741 447

例えば借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は3910万円です。
その時点で金利が0.5%から2.5%に上昇したとしたら、949万円を繰上げ返済することで、今後も11万6813円の毎月の返済で完済できるということです。

つまり、場合によっては949万円の損だってあり得るということです。

  • 固定金利を選ぶ=保険料として730万円払う(総支払額の変動と固定の差額)。
  • 変動金利を選ぶ=保険料を払わない代わりに74万円~1460万円の支払い増加は想定する。

借りる時点でこの想定をしておけば、想定外ということは無いです。

変動で大丈夫という人は、たいてい固定でも大丈夫なんですよね。ただ今回のご相談の文脈的には固定はしんどいので変動、という風に見えました。

違ってたらごめんなさい。それは地代等の支出を住宅ローンの返済と同列に見ていたから、というのもあるのかなと思います。しかし、そうではないと私は考えます。

こちらも参考にどうぞ。千日のブログの記事です。

変動金利でも固定金利でも返済できる人の住宅ローンはどっちを選ぶべき?ミクロな視点とマクロな視点 |千日のブログ

無料相談の感想を頂きました

後日、千日の回答に対するフィードバックを頂きました。

お世話になります。
さっそくのご回答ありがとうございます。

・住宅ローン返済、地代、更新料の積立について
Excelで数字の調整ばかりしているうちに、同列に見てしまっておりました。
優先順位が違うものであり、それに見合った手当を検討する必要があると気づくことができました。

・「固定はしんどいので変動」について
おっしゃるとおり、そういったマインドになっていたかもしれません。
絵に描いた餅を眺めてひとまず安心感を得ようとしておりました。
はっきりとご指摘いただけたことで、借り入れの方針が明確になってきました。
ありがとうございます。
現在はろうきん(固定金利(35年)1.25%)が利用できそうで検討を進めようと考えております。

余談ですが、借地権付きの住宅を購入検討する際、
ローンが組める金融機関が限られるということについて勉強不足・軽視してしまっていたと反省しております。
借地権も悪いところばかりではないのですが、情報量が少ないため情報収集・勉強に苦労しております。

これからもブログ更新楽しみにしております。
このたびはありがとうございました。

すごくご丁寧な、フィードバックを頂きました。感激です。

借地権の住宅については、確かに住宅ローンを組める金融機関が限られてきます。ハウスメーカーやデベロッパーに力があれば提携ローンで比較的選択の幅がありますが、それ以外で、例えばネット銀行などで借りようとすると難しいケースが多いですね。

ろうきんのような非営利団体は会員の利益を優先するので、借地権でも可能なのかもしれません。良いところに目を付けられたと思います。

これからも、良い情報を公開していきますので、よろしくお願いします!

以上、参考になれば幸いです。

30代世帯年収600万以上1200万未満の最適住宅ローンランキングを見る

年収700万円台の相談事例とシミュレーションを見る

共働き世帯年収800~1000万円の相談事例とシミュレーションを見る