住宅ローン控除の10年後に全額繰上げ返済できる人にベストな住宅ローンとは?

2020年2月17日

住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けて利息の負担を最小にする住宅ローン

住宅ローン控除は年末のローン残高の1%の所得税等が最大10回還付される減税制度で、現在のところ2021年12月31日までに居住の用の供した場合に適用されます。

2019年10月には消費税の増税(10%)が予定されていて、それに伴って住宅ローン控除についても延長され、拡充される方針となっています。ただ、この記事を書いている現時点ではまだその全貌は見えていません。

一方で、既に住宅市場では2020年完成のマンションの申込がスタートしていますね。ひょっとしたら、いままで住宅ローン控除の適用外だった物件も住宅ローン控除が受けられるかもしれない⁉という期待もあります。

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そうなると、意外なところでお宝物件が出るかもしれませんね。しばらくの間は税法の改訂ニュースは注目しておきましょう。

今日は、そんな10年の住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けつつ、利息の負担を最小限にする方法とは?というご相談です。

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相談:37歳年収1000万円、10年後に繰上返済予定の住宅ローン

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本を購入し、無料で相談を受け付けていることを知り、思い切ってメールさせていただきました。よろしくお願いします

居住予定の家族の年齢と年収 夫37歳1,000万円サラリーマン、妻41歳専業主婦、子4歳
自己資金の額 頭金として460万円(貯金は不詳、両親からの援助はなし)
物件価格  4,520万円
物件のタイプ 新築マンション2020年3月完成引き渡し
借入予定額 4,060万円
住宅ローン アルヒのフラット35s
住信SBIネット銀行 固定10年 年0.91%
10年後に繰上返済予定で当初10年は支出を抑えたい。
相談内容 住宅ローンの数が多過ぎて、どのメリットを優先すべきか判断しかねています。
販売会社の営業マンは住宅ローンの専門家ではないので、橋渡しはしてくれるが、その先は自分で選択していかなければならないこと。
ある程度の審査は通るはずなので、出来るだけメリットの大きい住宅ローンを選択したいと考えています。

いろいろと分からないことが多いので不安が多くてすみません。

来年の11月くらいまで決めればいいとは思いながらも、相談させていただきました。
よろしくお願いいたします。

回答①:10年後に一括大量返済するなら融資手数料型ではなく保証料前払い型がお勧め

ご相談者ご自身も言われていますように、まだ、現時点では住宅ローンを選ぶ時期ではないですね。なので、ここでの回答は現時点の金利情勢であるならば?という前提でお話しましょう。

今年から2019年3月くらいまでに引渡しとなる人にとっては、そのまま参考になるでしょう。2020年の人は考え方として参考にしてください。

10年の住宅ローン控除の恩恵を最大限に受け、金利の負担を最小減にするプランとして、10年固定金利又は当初10年の金利が低いフラット35Sというのは確かにセオリーとも言えます。

2016年1月のマイナス金利政策で10年固定が歴史的に低下し、一時は0.35%なんていうときもありました。そういう時であれば迷わず10年固定となったんですけど今は2年前の倍くらいまで上がってしまいました。

10年固定 9月 10月
auじぶん銀行(融資手数料型) 0.67% 0.7%
りそな銀行(保証料前払型) 0.75% 0.75%
みずほ銀行(保証料前払型) 0.8% 0.8%
三菱UFJ銀行(保証料前払型) 0.8% 0.8%

そこで、千日がお勧めするのは、2018年の今も金利が0.5%以下となっている金利タイプ、変動金利や3年固定金利です。

10年後の残高をほぼ返済できるほどの収入ないし貯蓄がある(これから作る)というプランであれば、必ずしも当初10年の金利を固定する必要性は薄いだろうと思います。

なぜなら、もし仮に金利が上がった場合には繰上げ返済して利息の負担を減らすことが出来るからです。

そこで今回は以下の3つをピックアップしました。

項目 変動金利

住信SBIネット

3年固定

三菱UFJ銀行

10年固定

りそな銀行

借入費用 融資手数料型 保証料前払型 保証料前払型
金利 0.457% 0.4% 0.75%
当初固定後 基準金利-1.85% 基準金利-1.6%

借入費用に手数料型と保証料前払型があります。手数料型は期日前に全額繰上げ返済しても返金されません。これに対して、保証料前払型は全額繰上げ返済すれば、その時点の残期間と残高に応じて返金されます。

一般的に手数料型の方が金利が低いですが、早期に繰上げ返済する場合には保証料前払い型の方が総支払額で有利になることが多いです。

今回のプランは10年後に完済ないし大量に繰上げ返済する計画ですので、繰上げ返済によって保証料が返金される方が良いですよね。

なので、最安の金利を出している金融機関で手数料型と保証料前払い型から選択できる場合保証料前払い型を選ぶものとします。

上記の3つの住宅ローンはそのようにして選んだ、2018年時点で最も低金利の住宅ローンなのです。

ではシミュレーションしましょう。

前提条件

  • 借入金額:4060万円
  • 借入期間35年、元利均等返済ボーナス払いなし

これでまずは2つの比較シミュレーションを行います。

  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 借入費用の比較シミュレーション

1.資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

4060万円35年 住信SBI変動0.457% 三菱UFJ3年0.4%/0.625% りそな10年
0.75%/0.875%
毎月返済 104,621 103,607 108,927
当初終了後 104,621 107,307 111,615
10年後残高 29,654,727 29,796,253 29,989,014
60歳残高 14,657,329 14,883,478 15,045,240
住宅ローン控除 3,462,100 3,466,700 3,487,100

当初終了後の金利は今の基準金利と変らなかったという前提にしています。

  • 変動金利は6か月ごとに金利を見直しですがどうなるか分からないので今のままと仮定しています。
  • 3年固定は3年後の基準金利ー1.85%、現時点の基準金利2.475%(変動)から1.85%引き下げで0.625%になると仮定しています。
  • 10年固定は10年後の基準金利-1,65%、現時点の基準金利2.525%(変動)から1.65%引き下げで0.875%になると仮定しています。これは10年後に全額返済すれば関係ないですね。

なので「当初終了後」の金額については、必ずしもこうなるとは限りません。

毎月の返済額ではどの金利タイプもそんなに大きな差は無いですね。毎月の返済も余裕があります。

さらに、変動金利の場合は金利が上がったときに対応できるか?が大事です。そのために千日は「2つの「四」」をクリアすることを推奨しています。

  1. 毎月返済額の4分の1を貯蓄する(金利が上がったときのため)。
  2. その4分の1の貯蓄と毎月返済額の合計を手取り月収の4割以下にする。

詳しくはこちらをご一読ください。

金利タイプ選びのセオリー

毎月の手取り月収は40万としてその4割は16万円です。十分に余裕がありますね。金利が上がったとしても、ある程度余裕があると言えます。

10年後の残高は約3千万円です。頭金や手数料とは別に1000万円ほど貯蓄を温存できていれば、可能かと思います。

ただ、その時点で金利がそれほど上がらなければ、無理に繰上げ返済する必要は無いのだとも言えます。

2.借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

4060万円35年 住信SBI変動0.457% 三菱UFJ3年0.4%/0.625% りそな10年
0.75%
印紙 20,000 0 20,000
登録免許税 40,600 40,600 40,600
前払い保証料 0 836,766 836,766
事務手数料 876,960 32,400 32,400
司法書士報酬 100,000 100,000 100,000
合計 1,037,560 1,009,766 1,029,766

大した違いは無いですね。住信SBIネット銀行と三菱UFJ銀行及びりそなとの違いは事務手数料か、前払い保証料かという違いだけです。また、三菱UFJで電子契約とすれば収入印紙は不要となります。

前述しましたように、前払い保証料は期日前に繰上げ返済すると返金されます。しかし事務手数料は返金されないという違いがあります。

回答②:定年まで借りる場合と10年後に全額返済する場合の総支払額を比較

資金繰りのシミュレーションのところにも少し書きましたけど、金利が上がらない間は、毎月の返済額にそんなに違いはありません。

住宅ローン控除が終わった後も、金利が低い状態が続いていたとしたら?何も急いで繰上げ返済しなくても良いと思うのです。繰上げ返済したお金は返ってきません。何かのアクシデントで無担保でお金を借りようとすれば低金利でも3%~の金利を取られます。

ならば、コンマ数パーセントの金利でそのまま借りておく方が不測のアクシデントに対して安全だと言えるのですよ。

なので、以下の2通りで総支払額の比較シミュレーションをしてみることにします。

  1. 貯金を温存して定年まであえて借りて、定年時に繰上げ返済する計画。
  2. 10年後に全額繰上げ返済する計画。

1.定年まであえて借りた場合

(単位:円)

4060万円35年 住信SBI変動 三菱UFJ3年固定 りそな10年固定
借入費用 1,037,560 1,009,766 1,029,766
60歳まで返済額 28,875,396 29,483,532 30,483,180
60歳残高 14,657,329 14,883,478 15,045,240
住宅ローン控除 3,462,100 3,466,700 3,487,100
保証料払い戻し 0 -48,355 -48,355
合計 48,032,385 48,795,121 49,996,931
変動との差額 0 -762,736 -1,964,546

もしも定年まで金利が上がらなかったとして、だったら借りておこうとそのまま借り続けたとしたら、住信SBIネット銀行の変動金利が一番安くなりますね。

平均して一番金利が低いので、なんとなくこうなるだろうなと予想は付いたと思います。

しかし、定年までの約20年間にわたり、今の低金利が続く前提というのは、ちょっと虫が良すぎる気もしますね。

金利が上がった場合に繰上げ返済して利息の負担を減らすことになるのだとすれば、やはり10年後に全額繰上げ返済した場合で比較するのが、より堅実な考え方だと思います。

2.10年後に全額繰上げ返済した場合

繰り返しになりますが、全額繰上げ返済すると決めたわけでは無いんですよね。それが可能な貯金を作っておいて、金利が上がったらいつでも繰上げ返済できる構えにしておくということです。

そして、保守的に10年後に全額繰上げ返済することになった場合にどうなるか?という見方で考えてください。

(単位:円)

4060万円35年 住信SBI変動 三菱UFJ3年固定 りそな10年固定
借入費用 1,037,560 1,009,766 1,029,766
10年返済額 12,554,520 12,743,640 13,297,032
10年後残高 29,654,727 29,796,253 29,989,014
住宅ローン控除 -3,462,100 -3,466,700 -3,487,100
保証料払い戻し 0 -304,175 -304,175
合計 39,784,707 39,778,784 40,524,537
変動との差額 0 5,923 -739,830

僅差ではありますが、三菱UFJ銀行の3年固定が最も少ない金額で完済できるという結果になりました。意外にも変動金利では無かったのです。

どのケースでも借入れた4060万円よりも少ない支払で完済できます。すごいですよね!

ところで、なぜ三菱UFJ3年固定が最安となったのか?それには2つの理由があります。

3年固定は、変動金利よりも低金利の0.4%で3年間固定されているというのが一つ目の理由です。残高の最も大きい期間にローン控除を沢山受けられるし、利息の負担が小さくなります。

二つ目の理由は、固定期間の3年経過後の引き下げ幅が1.85%と大きいため、今の変動金利とそん色の無い低金利(現時点の金利水準だと0.625%)が続くということです。

もちろん10年固定されていれば、安心ではありますが、その安心料が今は値上がりしているのです。3年固定でも約3分の1の期間は固定されていますので、6か月ごとに見直しとなる変動金利よりも金利の変動リスクは低いのです。

10年後に全額or大量に繰上げ返済しようと考えているならば、10年固定よりも、変動金利よりも、今なら三菱UFJの3年固定です。事前審査はこちらからどうぞ☟






10月に入ってからは、米経済指標の好調を背景とした米長期金利の上昇に引っ張られるように日本の長期金利が上昇を始めました。

それに伴って、銀行の住宅ローン金利も新規借入の10年固定金利を中心にジリジリと上がり始めています。

日銀は当分の間は今の長短金利の低い水準を維持するというフォア―ドガイダンスを採用していますので、日銀の政策金利と連動する変動金利については当分の間は上がらないでしょう。

そして、変動金利と競合している3年固定についても、三菱UFJ銀行が力を入れている今のうちは低金利で推移するでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

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