中古マンションをリノベするけどフラット35リノベの対象かどうか分かりません

2024年2月28日

リノベする中古マンションはフラット35リノベの対象なのか自分の目で確かめるべし

以下の2つのどちらかの条件に当てはまり、フラット35リノベの対象になると、当初5年又は10年間、フラット35の金利から0.5%もの引き下げになります。

  • 中古住宅を購入後、性能向上リフォームを行う
  • 性能向上リフォーム済みの中古住宅を購入する

ただしこの補助が受けられるかどうかは、対象のマンションとリノベ工事によって流動的なんですよね。どういうことかというと…

一定以下の性能の中古住宅がリノベによって一定以上の性能になることです。

つまり、中古でもそこそこ高性能の中古住宅だった場合は、リノベ工事で性能向上しても「フラット35リノベ」の対象にはなりません。

また、どんなにお金をかけてこだわりのリフォームしても、その性能が「フラット35の技術基準」を満たすものでなければなりません。

こういうもので、住宅金融支援機構|フラット35リノベに行けば詳細な条件を見ることができます。

  • 耐久性・可変性
  • 耐震性
  • 省エネルギー性
  • バリアフリー性

こうした要素で基準以上となるリフォーム、リノベ工事でないとダメですね。いくら高価でこだわりの部材を使用してカッコよく仕上げても、そういう見方で判断するんじゃないんです。

ちょっとややこしそうですよね…?そうなんです。

今日はそんな中古マンションをリノベしようとして、結局フラット35リノベが使えるのか使えないのか分からないままに住宅ローンが決まってしまいそうなご相談者からの相談です。

広告

相談:築古マンションを1200万かけてリノベします。仲介業者には変動フルローンを勧められています。

仲介会社のすすめで、フルローン、変動金利での申し込みとなっています。しかし千日様の著書家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本を拝見したり、いろいろと調べてみると固定金利がやはり安心なのかなと思っております・・・。

ですが月々のやりくりを考えるとやはり変動金利でないときついのが正直なところです。

仲介会社の担当の方からは、物件購入代・リノベーション代・諸経費をすべて変動金利で借り入れる提案をされております。

よろしくお願いします。

家族の年齢と年収 夫:32歳590万
妻:32歳専業主婦
息子:1歳11ヶ月(数年後にもう一人予定)
自己資金の額 住宅財形貯蓄360万とその他貯金:300万(idecoや投資信託含む)
物件価格 物件価格:1800万
リノベーション代:1200万
物件のタイプ 築30年中古マンション(耐震証明を付ければ住宅ローン控除を受けられる)引渡し予定は2019年3月
借入予定額 2700万~3100万
住宅ローン 仲介会社からおすすめされて、すべて変動金利で仮審査に出しています。
①三菱UFJ銀行変動0.625%(一般団信)住宅本体とリフォーム2本の住宅ローン
②広島信用金庫変動0.625%(ガン団信込み)住宅本体とリフォーム一括住宅ローン
➂広島銀行変動0.675%(ガン団信込み)住宅本体とリフォーム一括住宅ローン
④アルヒフラット35 1.45%(身体障害保障)リフォーム一体型
全て営業マンに勧められたまま審査に出しました。
変動金利が多いですが、今後金利が上がった場合の利息未払いが発生する変動金利で決めていいのか?不安です。
相談内容 このままフルローンの変動金利で借りていいのでしょうか?私としては諸経費もこの住宅財形から一括で払ってしまい、家具や引っ越し代金を引いた残りの金額を少しでも頭金として入れようかと考えておりました。しかし、担当の方からは余った金額は繰り上げ返済に充ててはどうですかとの提案を受けております。

先日フラット35で有名なARUHIに質問に行って参りました。今のところ該当マンションではないとのことでしたが、現在は対象マンションリスト?に載っていないことは確認済みです

こちら公式サイトから最寄りの店舗に予約をして面談で確認しました。

申し込みや相談など、来店のご予約をウェブで24時間受け付け|ARUHI

リノベの申請は難しくはないとの意見だったのですが・・・仲介業者の担当の方は、はじめから候補にあげていないようでした。

なんだか、整理しきれていない文章になってしまって申し訳ないのですが、どんなことでもよいので専門家としてのアドバイスが頂ければと思っております。

回答①:仲介会社はお客がどんな住宅ローンを組もうと関係ない

後述しますが、普通のフラット35で借りるか、リノベの適用が受けられるかで総額で222万円の支払い額の違いがでてきます。

アルヒのフラット35で借りた場合と、リノベで借りた場合の金利が大きいですからね。

  • 素のフラット35:1.45%
  • フラット35リノベ(金利Bプラン):当初5年0.95%その後1.45%

フラット35は頭金1割必要ですので借入は2700万円、35年元利均等返済ボーナス払いなし、60歳(定年)で全額繰上げ返済するという前提です。

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

2700万円35年 アルヒフラット35リノベ(B) アルヒフラット35
毎月返済 75,589 82,010
5年経過後 81,123 82,010
10年後残高 20,403,651 20,626,674
60歳残高 6,476,128 6,546,844
住宅ローン控除 2,000,000 2,000,000

仲介会社の営業マンがフルローンを勧めるのは住宅ローン控除を沢山受けられるということがあるのでしょう。

しかし、中古住宅で住宅の代金に消費税がかからない場合、毎年の住宅ローン控除は20万が上限です。つまり住宅ローン残高としては2000万を超えた額を借りても住宅ローン控除は20万で頭打ちなのです。

上の表のように、1割の頭金を入れた場合、10年後の残高は2000万をちょっと超えたあたりですよね。つまり、頭金1割で10年で最大の200万円の住宅ローン控除を受けらるということです。

それ以上借りても、住宅ローン控除は増えません。

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

2700万円35年 アルヒフラット35リノベ(B) アルヒフラット35Web割引
借入費用 438,600 438,600
60歳まで返済額 25,397,904 27,555,360
60歳残高 6,476,128 6,546,844
住宅ローン控除 -2,000,000 -2,000,000
保証料払い戻し 0 0
合計 30,312,632 32,540,804

フラット35リノベ(金利Bプラン)と素のフラット35の差は222万8千円です。

つまり、「リノベ」の適用があるかどうか?ということには222万円の価値があるのです、私たち購入者にとっては。

しかし、仲介業者にとっては、お客が変動金利で借りようが、フラット35リノベで借りようが、仲介手数料に変化はありません。だったら、自分が楽な方、手間がかからない方で進めようとするのが普通の人間です。

このままでいいのかしら…?

そう思ってご相談頂いたのだと思います。このままではダメですよね。営業マン、リフォーム会社の尻を叩き、自分自身もよく勉強してとことん確認すべきです。

その報酬は222万です、頑張ってください。

回答②:無理なく返済できる住宅ローンかを判定します

では、まず夫婦の収入で2700万円(頭金1割)~3100万円(フルローン)の住宅ローンに無理が無いか?を確認してみましょう。

下の表は私の著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本でご紹介している、無理なく返済できる住宅ローンを見積もる4つのルールです。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利(1.38%)
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

この4つのルールを、30歳の各年収でスタートし、無理なく完済できる住宅ローンの金額として、表にすると以下のようになります。

(単位:万円)

年収 月収 30歳
400 20 2663
600 25 3250
700 30 3755
900 35 4255
1000 40 5714
1200 50 7031

夫:年収590万円で32歳なので3250万円よりちょっと少ないくらいです。

なので、頭金1割の2700万ならちょうど良い金額、3100万だとぎりぎりのラインですね。

回答➂:変動金利、財形5年変動金利、フラット35リノベの3つを資金繰り面と総支払額で比較します

では変動金利か固定金利かという段階に行きますね。特にご相談者の場合、財形貯蓄をされている!という点に注目しました。

財形住宅金融株式会社が取り扱っている、財形住宅融資(リフォーム資金同時申込)が利用できる可能性があります。5年変動金利で5年ごとに金利を見直します。民間の変動金利は6か月ごとですから、こっちの方が固定金利により近いですね。

さらに、子育て勤労者および中小企業勤労者の特例措置適用の場合は、当初5年間の金利が0.2%引き下げられます。

財形住宅融資(リフォーム資金同時申し込み)|財形住宅金融株式会社

そこで以下の3つの比較を行います。

金融機関 金利タイプ 金利 団信
三菱UFJ 変動(6か月ごと) 0.625% 一般
財形住宅金融 変動(5年ごと)子育て勤労者当初5年△0.2% 0.51%→0.71% 一般
アルヒ 35年固定 1.450% 身体障害保障

32歳から35年元利均等返済ボーナス払い無し、定年の60歳で繰上げ返済する前提です。以下の二つの面から比較をします。

  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 総支払額の比較シミュレーション

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

2700万円35年 三菱UFJ変動 財住金5年変動(子育て) アルヒフラット35リノベ(B)
毎月返済 71,589 70,207 75,589
5年経過後 71,589 72,284 81,123
10年後残高 19,878,383 19,864,368 20,403,651
60歳残高 5,882,504 5,921,736 6,476,128
住宅ローン控除 1,998,800 1,998,700 2,000,000

最初の5年は財住金の5年変動が一番少ない支払で済みますよね。しかも5年固定です。しかも0.51%ってメガバンクやネット銀行でもこんな低金利は出てないです。

また、

変動でなければ厳しい…

このように言われているのですが、リノベになれば4千円くらいしか違いません。30代ですからこれから給料が増える年齢層です。その後5年で収入が増えれば支払は楽になるでしょう。

しかし、変動金利は6か月ごとに見直しですから、上がるときには給料が増えるのを待ってはくれません。

変動金利の二つの「4」をクリアしているか?が重要

資金繰りの面では、変動金利を選んで良いかどうか?は二つの「4」をクリアできるか?ということが重要です。

  1. 毎月の元利均等返済額の4分の1以上を貯金する。
  2. 上記の貯金と元利均等返済額の合計を収入の4割(40%)未満にする。

詳しくはこちらをどうぞご一読ください。変動金利の5年ルールと125%ルールを根拠にしています。

金利タイプ選びのセオリー

三菱UFJ銀行の変動金利の毎月返済額は71,589円です。なのでその4分の1を貯蓄するということは、17,897円を貯蓄するということです。

そして71,589+17,897=89,486ですね。これを手取り月収の4割以下にします。

年収590万の手取りは約25万円とすると4割は10万円ですね。一応、レンジ内にはあります。

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

2700万円35年 三菱UFJ変動 財住金5年変動(子育て) アルヒフラット35リノベ(B)
借入費用 748,270 591,555 438,600
60歳まで返済額 24,053,904 24,162,804 25,397,904
60歳残高 5,882,504 5,921,736 6,476,128
住宅ローン控除 -1,998,800 -1,998,700 -2,000,000
保証料払い戻し -8,820 -8,820 0
合計 28,677,058 28,668,575 30,312,632
メガバンク変動金利との差 -8,483 1,635,574

金利の変動リスクがありますので、そのままの比較はできません。ある程度の前提を置いての見方となります。

三菱UFJ変動金利と財形住宅金融(以下「財住金」という)では財住金の方が8千円ほど少なくなりました。財住金の方が金利が固定されているのに、です。なのでこれも候補として挙げることをお勧めします。

三菱UFJ変動金利とアルヒフラット35リノベ(金利Bプラン)では、リノベの方が163万円高くなりました。これは今後金利が上がっても大丈夫なようにする保険料のようなものです。

では、金利の変動リスクというものを具体的な金額で実感してみましょう。

変動金利の支払い総額のリスクを金額にしてみると…?

例えば2700万円を変動金利0.5%で35年元利均等返済で借り入れた場合、毎月の返済額は70,088円です。金利があがってもこの70,088円を維持したまま、当初の35年で完済するには、その時点で幾ら繰上げ返済すればいいか?という金額を計算するのです。

(単位:万円)

3000万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額
残期間 30年 25年 20年 15年
残高 2346 1979 1603 1217
0.5→1.0% 164 116 76 44
0.5→1.5% 312 224 148 86
0.5→2.0% 447 323 215 126
0.5→2.5% 569 414 278 164
0.5→3.0% 681 499 337 200
0.5→3.5% 783 577 392 235
0.5→4.0% 876 649 445 268

例えば借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は2346万円です。
その時点で金利が0.5%から2.5%に上昇したとしたら、569万円を繰上げ返済することで、今後も70,088円の毎月の返済で完済できるということです。

つまり総支払額の面では、以下のように考えてください。

  • リノベで借りる=163万の保険料を払う。
  • 変動金利を選ぶ=44万円~876万円の支払い増を許容する。

回答④:ガン保障を検討するのは金利タイプを決めてから

今回のケースでは、まだ広島信用金庫と広島銀行を使っていませんね。この二つは金利上乗せなしてガン団信が付帯します。

でも、こうした付帯サービスはあくまで「ついで」のものです。特に30代前半の人にとってはそうです。

団信についての考え方は、こちらのランキングをどうぞ。

30代ワイド団信or団信に加入しない住宅ローンランキング

一応、オマケとして今の変動金利の中から選ぶとしたら?という視点で比較しておきましょう。金利にそれほど差があるわけではないので、総支払額の比較だけを行います。

仲介会社の営業マンの勧めるとおりフルローン(借入3100万円)とします。それ以外の条件は同じ、32歳からスタート、35年借入元利均等返済ボーナス払いなし、60歳(定年)で繰上げ返済です。

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

3100万円35年 三菱UFJ 広島信用金庫 広島銀行
借入費用 834,710 760,540 891,100
60歳まで返済額 27,617,520 27,851,376 27,851,376
60歳残高 6,753,925 6,799,264 6,799,264
住宅ローン控除 -2,000,000 -2,000,000 -2,000,000
保証料払い戻し -9,800 -9,800 -9,800
合計 33,196,355 33,401,380 33,531,940
680万のガン保障の値段 205,025 335,585

最も総支払額が少なくなるのは、言うまでもなく三菱UFJ変動金利です。ただこれにはガン団信は付いてない一般の団信ですね。

これに対して、広島信用金庫と広島銀行にはガン団信が金利上乗せなしで付帯します。

つまり、

総支払額の差=ガン保険の保険料ということです。

そしてリターンの保険金は、最もガンのリスクが高くなる年齢での住宅ローン残高です。つまり、60歳で完済するので、60歳残高です。だいたい680万ですね。

つまりガンと診断されたとしたら680万の保険金がはいる保険の保険料だという見方で、この表を見れば良いということになります。

広島信用金庫:ガンと診断されたら680万もらえるガン保険は20万5千円(月平均610円)

広島銀行:ガンと診断されたら680万もえらえるガン保険は33万5千円(月平均997円)

ということです。つまり、変動金利なら広島信用金庫の方がお勧めということになります。

まとめ~アルヒのメリット

アルヒはフラット35の取り扱い件数ナンバーワンの事務代行会社で、全国170か所に店舗があり、対面で相談が可能なのが魅力です。

豊富な実例を持っていますので、例えば同じ中古マンションでリノベを利用したということは店舗でリスト化されて蓄積されています。そのリストに載っていれば、あとはリノベ工事次第で対象になる!という貴重な情報を得ることも可能なんです。

やはり、取り扱い数が多いというのは、相談する側としてそれだけでメリットですよ。

またアルヒは本審査のスピードが早いことでも有名です。最短3日です。

例えば千日のフラット35金利予想で急きょフラット35が下がることが分かり、フラット35で借りたい!となったときに、唯一間に合う可能性があるのがアルヒです。

特に長期金利が不安定な今のタイミングに住宅ローンを長期固定で借りる人にはフラット35も審査に通しておくことをお勧めしています。

無料相談のご感想を頂きました!

後日、ご相談者からメールをいただきました。

お世話になっております。

ブログ熟読させて頂きました。本当にありがとうございました。
住宅金融支援機構に行き、フラット35リノベについても詳しく説明をうけてきました。
やはり、マンションのリノベはなかなか難しいかもしれないとは言われたのですが、
対応可能かを仲介業者の担当の方にも、いろいろと確認して頂いているところです。

もしフラット35リノベが無理だったとしても
納得いくまで調べることができて悔いはないと思います。

本当は、どの住宅ローンでいくか決定してからお礼をと思ったのですが、それでは日が空きそうで・・・

ご多忙のところ、私の質問に丁寧に回答頂き、本当にありがとうございました。
まだゴールではないですが、最後まで頑張ります!

こちらこそ、ありがとうございました!

フラット35リノベは条件が厳しいということから、諦めてしまう人も少なくないと聞きます。

マンションの場合は手を入れられるのが専有部分のみということもあって、戸建てよりも認められるケースが少なくなります。

しかし、マンションはダメなんてルールはありません。実際利用している人も沢山います。

これからも色々なケースを公開していきますので、ブログ読んでくださいね(^^♪これからも、よろしくお願いします。

以上、参考になれば幸いです。

30代世帯年収600万未満の最適住宅ローンランキングを見る

年収500万円台の相談事例とシミュレーションを見る