PR

53歳自己資金ナシ70歳まで働く住宅ローンの資金計画の実例

2020年2月17日

50代から貯金なしで住宅ローンを組むのは老後破産の危険あり

この住宅ローンは大丈夫でしょうか(無謀ではないですか)?というご相談を頂くことがありますが、特に50代で貯金が無い人が家を購入するのは無謀です。

年収と年齢からわかる、「無理なく完済できる住宅ローン」をシミュレーションするために、4つのルールを提唱しています。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

これをあてはめて50代で無理なく返済できる住宅ローンの金額をマトリックス表にすると以下のようになります。

(単位:万円)

年収月収50歳55歳
3001515501260
4002016781378
6002520011520
7003022101619
9003524331722
10004026501861
12005036742361
15006042342672
20008053703250

注1:年収に対する月収は扶養家族やボーナスに配分される額によっても違ってきますのであくまで目安としてご利用ください。

注2:世帯年収1200万円からは「1.毎月の返済は手取り月収の5割以下でボーナス払いなし」という前提で計算しています。収入が多いので割合が高くなっても生活可能だからです。

注3:表は60歳定年を前提にしています。65歳定年の人は自分の年齢より5歳若い年齢を当てはめてください。医師や自営業など決められた定年が無い人は70歳定年としますので自分の年齢より10歳若い年齢を当てはめてください。

上記の金額の住宅ローンなら大丈夫か?というとそんなことは無いです。この一覧表は60歳で1000万円の残高になるように作っているからです。

50代の時点であと10年以内に1000万円の貯金を貯められないと、60歳定年後もローンを背負うことになります。

なので、50代からスタートする住宅ローンでこの表を使う場合は、現時点で1000万円の貯蓄がある人、または、無理なく1000万円貯められる人、ということになりますね。

現時点で貯蓄が無いという人がこの表で「大丈夫」と判断するのは、老後破産のリスクを高めてしまいます。

では、今日のご相談者です。

定年後も住宅ローンの返済を続けつつ老後破産しないための方法とは?-千日のブログ

広告

相談:老後の住まいは築古マンションか県営住宅かどっちがいいですか?

結婚以来ずっと家賃9万の賃貸マンションですが、定年後を考えて 今のうちに中古マンションを購入し移り住むことを検討したいと思っています。

家族の年齢と年収夫 53歳 会社員 年収600万 減少傾向
妻 51歳 パート 年収100万
長女 21歳 大学三年 次女 16歳 私立高校一年
自己資金の額住宅財形が250万あり、これだけを頭金、手数料等にあてるしかありません。
物件価格2000万
物件のタイプ中古マンション
借入予定額2000万
住宅ローン退職金は1000万には程遠い額ですが支給されます。
働けるだけ働いて70歳まででローンは返済するように組むつもりです。
相談内容駅から遠い2000万未満の中古マンションなら手が届くのか、それともこのままで子供が独立したら県営住宅などで一生賃貸暮らしでいくしかないのか答えが出ません。

学費もまだこれから 家計も毎月ギリギリ状態。
介護もあり妻の仕事も増やせずにいます。アドバイス宜しくお願い致します。

回答①:現時点の貯金が600万は無いと50代で2000万の住宅ローンを組むのはリスクがあります

まずこの住宅ローンが無理なく返済できるのか?ということを最初の表にあてはめてみましょう

ご主人は53歳で月収25万円とすると、表では1520万円と2001万円の間となります。ご夫婦の収入を合算すると月収30万円となり、1619万円と2210万円の間となります。

つまり、夫婦で合算すれば概ね2000万円の住宅ローンは返済できそうに思えます。

しかし、冒頭にも書いているとおり、この表は60歳の残高を1000万円とした表であり、その時点で完済することを前提としています。

現実的に考えて、それは難しいということで70歳まで働くという前提でどのような資金計画になるのか?というのが今回のポイントとなりますね。

回答②:60歳で完済できない場合は無理に完済しようとせず、細く長く住宅ローンを維持する戦略

50代からの住宅ローンには大きく分けて2通りのパターンがあります。

  1. ほぼ現金で購入できる資金力があり、住宅ローン控除と団信の保険の恩恵を得るためにあえて住宅ローンを借りるパターン。
  2. そこまでの資金力は無いが、住宅ローンを借りることが出来る。いざというときの虎の子の貯金は温存しつつ細く長く住宅ローンを維持するパターン。

年金の支給開始時期はドンドン後ろ倒しになり、支給額も減っていくでしょう。

収入が少なくなる環境で、自己資金を全て完済にあててしまうと、定年後も長く続く人生のアクシデントに対応できなくなってしまいます。

なので千日は自己資金を温存しつつ、定年退職後の支払いを少なく抑えて、細く長く継続するという作戦をお勧めしています。

『細く長く』ということは、利息を長く払うということにもなりますので、いわゆる損得勘定の物差しで考えたら損な方法ということになるのですが、家の購入については、損得よりも持続可能性が優先されると考えています。

方針は2つです。

  • 今ある自己資金と退職金にはできるだけ手を付けない。
  • 定年後の支払いは長くなっても良いからとにかく少なくする。

年金は少なくなるとは言え、ゼロになるわけではありませんからね。確かに利息を払うのは費用ですが、ほぼ年金の収入で、家計の見直しによってねん出できるようなレベルであれば、生活に響くことはありません。

そこで千日は以下のような住宅ローンの組み方、返済方法をお勧めしています。

  1. 変動金利と20年固定のミックス
  2. 10年固定と20年固定のミックス

定年退職年齢で収入が減るタイミングに合わせて、短い固定期間のローンor高い金利のローンを完済し、その後の毎月返済を半減させるという作戦です。

このような細く長くのミックスローンに適した住宅ローンのランキングをこちらで毎月更新しています。

このランキング上位の住宅ローンでどんな資金計画になるのかやってみました。

回答➂:資金繰り、総支払額の比較シミュレーション

今回は3つの住宅ローンを比較してみます。

金融機関金利タイプ金利
住信SBIネット銀行 ミスター住宅ローンREAL(ランキング1位)変動
20年固定
0.447%
1.35%
auじぶん銀行(ランキング2位)10年固定
20年固定
0.68%
1.403%
財形住宅金融5年変動金利0.71%

ランキング1位と2位のミックスローンについては、それぞれの金利タイプで1000万づつ、合計2000万円借りた場合でシミュレーションします。10年後に変動金利or10年固定金利の方を繰上げ返済するという前提で計算します。

財形住宅金融の5年変動金利は、ご相談者が住宅財形をされているので選択できる可能性がある公的融資です。お勤め先が補助金の条件を満たす場合はさらに当初の5年は0.2%引き下げとなりますので、かなりお得です。10年後に半分を繰上げ返済するという前提で計算します。

財形住宅融資|財形住宅金融株式会社

シミュレーションは二つの側面から行います。

  • 資金繰り:毎月の返済は大丈夫か?定年時までに繰上げ返済できるか?
  • 総支払額:総支払額ではいくらか?

資金繰りの面が一番大事です。結局、完済できなければ売却するしかなくなるのですから。総支払額の面は手数料も合計した総額でどの住宅ローンが一番支払が少ないかの計算をするものです。

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

2000万円26年1位:ミスター住宅ローンREAL変動と20年固定のミックス2位:auじぶん銀行10年と20年固定のミックス財住金5年変動金利
毎月返済71,97773,24770,220
繰上げ返済後38,02238,27035,110
10年後繰上げ返済6,290,7426,361,4196,370,493
70歳残高3,864,7323,880,6993,672,118

最初10年間の毎月の返済額は7万円台ですね。今の家賃よりも約2万円安くなりますが、マンションを所有するようになると、管理費、修繕積立金の出費がかかります。

特に値段の下がる築古マンションほど修繕や大規模修繕にお金がかかりますので、その金額は大きくなります。結果的には賃貸の家賃と同じ位の費用が住居費として必要となります。

そして、10年後にはその時点のおよそ半額の住宅ローンを繰上げ返済する必要があります。これによって収入が減りながらも住宅ローンを維持できるのですね。その金額は概ね6百万円です。

現時点で、6百万円の貯蓄があれば、ある程度は確実にこの繰上げ返済が出来そうだという見込みを立てられます。絶対可能ではありませんよね「可能性が高い」くらいのものだと思ってください。

現時点で10年後の繰上げ返済資金が無いのであれば無謀

逆に言いますと、10年後の繰上げ返済資金が現時点で無い、ということであれば、かなり危険ということです。例えば退職金で払えたとしても、その後の生活費に困る可能性が高くなります。

結局は家を手放さざるを得なくなるのであれば、購入しない方がマシだったということになりますよね。

ご相談者は、現時点で幾らの貯蓄があるかまでは明らかにされていませんが、老後資金の蓄えも含めて6百万円に満たないのであれば、2000万円の住宅ローンを組むべきではないです。仮に6百万あったとしてもギリギリです。

また、現時点で4人家族ですが、2人のお子さんはどちらも独立して家を出ていくと2人になります。4人の前提で購入するマンションの専有面積の約半分はあと10年もすれば持て余す空間、無用の長物となるのです。

子どもの独立を目の前にして、今から4人家族用の家を購入するというのは、すごく贅沢なお金の使い方なのです。

購入を考えるのであれば、上のお子さんがが独立された後、ご夫婦2人でジャストサイズの物件に工夫を凝らして3人で住むという前提で物件を探す。

それまでは貯蓄を増やす方がより安全で無理の無いプランとなるでしょう。

老後の住みかとしては駅や病院の近くがオススメ

また、安い物件でなければならないということで、駅から遠い中古マンションを検討されていますが、老後の住みかとしては駅や病院の近くがオススメです。

現時点で駅から遠いということは立地適正化計画の居住誘導区域外となっている可能性があるからです。

詳しくはこちらをどうぞご一読ください。

AIで地価予測したら意外な町が上昇し意外な町が下がる⁉ |千日のブログ

定年が近く、資金が少ない中でリスクの高い購入をする場合は、なおのこと売却も考えた物件選びをする必要があります。

中古マンションであれば、広さや築年数よりも立地をまず優先すべきです。

総支払額の面のシミュレーション

(単位:円)

2000万円26年1位:ミスター住宅ローンREAL変動と20年固定のミックス2位:auじぶん銀行10年と20年固定のミックス財住金5年変動金利
借入費用612,000612,000485,120
70歳まで返済額18,121,83018,365,73917,746,133
70歳残高3,864,7323,880,6993,672,118
住宅ローン控除-1,612,100-1,617,600-1,605,000
保証料払い戻し00-8,100
合計20,986,46221,240,83820,290,271

※借入費用は概算です。

総支払額では、そんなに大きな違いは見られません。金利変動リスクがそれぞれ少しずつ違います。

  • 変動と20年固定のミックス:変動金利について金利変動リスクを負う。
  • 10年固定と20年固定のミックス:金利の変動リスクはゼロにできる。
  • 5年変動金利:5年ごとに金利の変動リスクを負う。

金利変動リスクを負う場合は、金利が上がらないという前提でのシミュレーションでは安くなりますが、その分貯蓄や資金力が必要となります。

無料相談のご感想を頂きました

今回は少し厳しい結果となったのですが、感謝のメールを頂きました。

アドバイスありがとうございました。

やはり今、購入はリスキーだと痛感致しました。
後悔先に立たず。。これからできることをやっていくしかありません。

分かりやすく教えて下さり
本当にありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

住宅ローンはひとたび実行によってスタートすると、利息と元本を払い切らなければ終わらないものですよね。

おっしゃる通り、後悔は先に立たないものです。

今回の結果は、現時点の社会情勢と住宅の相場を前提としたものですが、状況は刻一刻と変化していくものですし、家を買う買わない問題よりも大きなスパンで、老後の備えは重要なタスクです。

これからできることをやっていく、まさにその通りだと思います。二人のお子さんの成長、独立によってまた状況は変わっていくことと思います。

日々の蓄えを怠りなく、状況が変わればまた検討する日も来るでしょう。お互い頑張りましょうね!

ありがとうございました。

以上、参考になれば幸いです。

50代世帯年収1000万未満の最適住宅ローンランキングを見る

年収600万円台の相談事例とシミュレーションを見る

共働き世帯年収600~800万円の相談事例とシミュレーションを見る