消費増税前に住宅ローン控除を受けられない築古マンションへ住み替えます

住宅ローン控除を受けられない物件はアコギなくらい強く値引き交渉すべし

 

2019年10月の消費増税が決定となっており、政府は景気対策として住宅ローン控除の拡充を検討しています。今のところ、現在10年という期間を5年延長してはどうか?という案が有力なようですね。

住宅ローン控除は年末残高の1%を所得税等から最大10年間キャッシュバックされる減税措置ですが、床面積が50㎡に満たない住宅や築古で耐震性能が現在の水準に達していない住宅は受けられません。

なのでこうした、住宅ローン控除を受けられない物件は、性能面に加えて住宅ローン控除が受けられない分だけ安い価格になっているのが通常です。

今回の消費増税によってさらに住宅ローン控除が拡充されるということになると、さらに値引きをしてもらわないと引き合わないということになります。

住宅ローン控除を受けられない物件であっても、それ以外が希望にピッタリであれば「買い」でしょう。しかし、住宅ローン控除が受けられない分についてはしっかり値引き交渉することをお勧めします。

今日は、そんなご相談者です。ではどうぞ!

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相談:住み替えで住宅ローン控除を受けられないリフォーム済み築古マンションを買います

「 住宅ローン相談 第三者 」 のようなワードでインターネットで検索した際にヒットしたのがきっかけでブログを読むようになりました。よろしくお願いします。

家族の年齢と年収 夫35才/年収850万、妻専業主婦、中学生2人
自己資金の額 今の持家(築6年の大手ハウスメーカー戸建て)を売却予定(ローン残債4000万)。5200万~5300万で仲介にて一般顧客へ販売見込み。
物件価格 3850万
物件のタイプ 駅近の中古マンション築38年リフォーム済み。引渡しは2019年3月までを予定。
旧耐震基準で住宅ローン控除の恩恵はなし。
※耐震診断実施している物件で、接合している別棟の一部のみがNGでていて住宅ローン控除対象にはならないが、購入予定の棟についての実耐震性は問題なし。
借入予定額 3080万~3850万
住宅ローン フラット35リノベの対象かどうかはわからないのですが、不動産屋からARUHIフラット35で組めそうとのことです。
2019年3月の引き渡しまでに持ち家が売れてしまえばローン実行前に好きなところに変更可能。その後は好きなところに借り換えしてもOKとなっております。
相談内容 今のところアルヒのフラット35が有力ですが、さらにベターorベストな方法はありますか?

多少の2重ローン生活になっても大丈夫な余裕はあるため、今の戸建ての方は、焦らず希望に近い金額で売却したいと思っています。

なぜ築6年で住み替えを考えているのか?査定される全員に同じ質問をもらいますがお答えしづらい個人的事情なのでご容赦ください。ただ、物件価値に関わるものではありません。

考えをお聞かせ下されば幸いです。

回答①:住宅ローン控除が受けられないことによる影響額を知ったうえで交渉する

冒頭にも書いていますが、これから購入しようとしている中古マンションは住宅ローン控除の対象になりません。

中古物件の場合の住宅ローン控除は現行法では年20万円で10年間、つまり200万円ですね。なので住宅ローン控除を受けられる同じ種類の中古物件相場よりそのくらい安いのであればまあ良しという感じです。

しかし、問題は2019年10月の消費増税対策でこの住宅ローン控除が拡充され、今は未定ですがその拡充の内容としては5年の延長というのが濃厚ということです。

消費増税の影響と住宅ローン控除の延長の影響、この分かりやすい比較表を千日のブログで公開しています。

《一般の中古住宅で1年の上限20万の場合》

(単位:千円)

価格=借入 増税影響 住宅ローン控除延長影響
10年 15年 増加額
1000万 21 872 1,213 342
1500万 26 1,307 1,820 512
2000万 31 1,743 2,426 683
2500万 36 1,987 2,841 854
3000万 41 2,000 2,986 986
3500万 46 2,000 3,000 1,000
4000万 51 2,000 3,000 1,000
4500万 56 2,000 3,000 1,000
5000万 61 2,000 3,000 1,000
5500万 66 2,000 3,000 1,000
6000万 71 2,000 3,000 1,000
6500万 76 2,000 3,000 1,000
7000万 81 2,000 3,000 1,000
7500万 86 2,000 3,000 1,000
8000万 91 2,000 3,000 1,000

消費増税でも住宅ローン減税5年延長の方がトク⁉増税影響と控除増の早見表 |千日のブログより抜粋

消費増税は8%から10%への2%ですが、中古住宅の不動産取引への影響としては0.1%~0.2%程度なのですね。ほとんど誤差と言って良いレベルでこれはもう確実に住宅ローン減税の延長の方がお得です。

また、ご相談者の借入額での住宅ローン控除の延長の影響額は100万円です。つまり追加で100万値引きしてくれと言える状況になるということですね。

まだ今は「5年延長かもね」という噂程度ですが、今年の12月の中旬にはそれが確定します。住宅ローン控除の全貌が確定すれば、住宅ローン控除を受けられない物件の相場は全体的に下がるでしょう。

今のタイミングは、ギリギリ下がっていないタイミングです。売主の立場に立ってみると、何とか売り抜けたいタイミングですよね。「少しでも高く売りたい」ご自身も売主の立場だから良くわかると思います。

少々の2重ローンになっても大丈夫、じっくり売りたいというのであれば、買う物件についても、少し立ち止まってより有利な交渉材料の出る12月まで決断は保留することをお勧めします。

今の住居を売って売却益が出た場合は売却益にも税金がかかるが3000万円までは特別控除がある

住み替えのためにマイホームを売ることで、売却益が出たら、その売却益にも税金がかかります。自分で確定申告して税金を納めなければなりません。

でも、自宅として利用していた不動産を売却する場合、その売却益には3000万円を限度として税金を払わなくていいという特例があるんです。これが3000万円の特別控除というものです。

ただし3000万円の特別控除を使うと住宅ローン控除は使えなくなる

なので、たいていはこの3000万円の特別控除によって税金をはらわなくてよくなるんですよね。しかし、この3000万円の特別控除を使ってしまうと、代わりに新しく購入する家の住宅ローン控除は使えなくなってしまうのです。

下図のように、新しく家を購入した年とその前後の2年づつの5年間に旧のマイホームを売却して、その売却益に3000万円の特別控除を使うと住宅ローン控除が受けられなくなります。

ちょっと、年度をズラす程度ではダメなんです。なので、住み替えで売却益が出た人はもちろん嬉しいんですけど、

  • 売却益の税金を払う代わりに新しい家で住宅ローン控除を受けるか?
  • 売却益の税金を免除してもらう代わりに住宅ローン控除を受けられなくなるか?

この2択となります。どちらがトクになるかは、売却益の金額にもよりますので、こちらを参考にしてください。

マイホームの買い替えで売却益が出たら、住宅ローン控除と3000万円の特別控除どっちが得か? |千日のブログ

3000万円の特別控除を使うほどの売却益が出れば良いとこ取りができる!

もしも今の住宅で多額の売却益が出て、上限3000万円の特別控除の方を選択したとしたら、そもそも住宅ローン控除を受けられないというデメリットは無かったことになりますよね。

しかし、交渉の上ではそんなことは関係ありません。それはそれ、これはこれです。あくまで安くなる要素があれば、それを価格に反映してもらうことをためらってはいけません。

ご自身が売主として査定を受ける際に「なぜ6年で売るの?」と勘繰られるのと同じです。相手は安く購入できる要素を探しているのですからね。

回答②:フラット35の「リノベ」ならそのままリノベで借り、そうでないなら借り換えも視野に入れた住宅ローンを組む

では住宅ローンの選択に行きましょう。現時点ではアルヒのフラット35で借りれそうだということですね。フラット35はセカンドハウスでも住宅ローンを組めるなど、民間よりも審査が甘いのが特徴です。

今の住宅ローンを払いながらでも新たに、ある程度の安い金利で借りられるところとしてはフラット35以外には無いでしょう。

なのでまずはフラット35で借りる方向で進め、もし早期に高く売れたなら、さらに広い選択肢からベストな住宅ローンを選ぶということになりますね。

年齢と年収からベストな住宅ローンということでは当サイトのランキングが参考になると思います。ぜひ利用してください。

ランキング 年齢
20代 30代 40代 50代以上
新規借入 20代800未満 30代600未満 40代600未満 50代1000未満
30代600~1200 40代600~1200 50代1000以上
20代800以上 30代1200以上 40代1200以上

但し、今の段階ではアルヒのフラット35だけです。私なら以下の3段階で考えます。

表の中の金利は2018年12月の予想金利ですので実際に借りる金利とは違いますので、その点はご了承ください。

当初5年 その後 作戦
スーパーフラット8リノベ(金利Bプラン) 0.8% 1.3% ベストな住宅ローンの一つ
スーパーフラット8 1.3% 1.3% 固定金利で借りるならベター
素のフラット35 1.4% 1.4% 変動金利への借り換えを前提にするなら

ベストはアルヒスーパーフラット8リノベ

もしもフラット35リノベの対象になるなら当初の5年又は10年はフラット35の金利から0.5%引き下げになります。さらに頭金を2割入れればスーパーフラット8で全期間で0.1%引き下げになります。

引渡しまでに今の家が売れれば2割の頭金も捻出できます。

これはおそらく固定金利として最も有利な住宅ローンですので、この条件で借りることが出来るなら、変動金利は忘れてこのままこれで行きます。これがベストなプランです。

ベターはアルヒスーパーフラット8

次は、リノベの対象にならなかった場合です。それでも引渡しまでに今の家が売れれば2割の頭金を用意できます。

頭金を2割入れてスーパーフラット8で全期間0.1%の引き下げを受けます。これは30代で世帯年収600万以上1200万未満の人が固定金利で借りる場合のランキング1位です。

リノベの方が有利ですが、条件が特殊なのでランキング外にしています。十分にベターなプランです。

引渡しまでに売れなければ素のフラット35

今の持ち家が売れずに2019年3月の引き渡しを迎えた場合は、後で借り換えることも考えて、普通のフラット35で借ります。スーパーフラットは手数料率が2.16%と少し高いので借り換えを前提にする場合は少しだけ損になります。

回答➂:住宅ローンのシミュレーション

では以下の3つを比較します。

  • ベスト:アルヒスーパーフラット8リノベ(当初5年0.8%、その後1.3%)
  • ベター:アルヒスーパーフラット8(1.3%)
  • 後で借り換え:素のフラット35(1.4%)

35歳から35年元利均等返済ボーナス払い無し、定年の60歳で繰上げ返済する前提です。以下の二つの面から比較をします。

  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 借入費用の比較シミュレーション
  3. 総支払額の比較シミュレーション

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

3850万円35年 アルヒスーパーフラット8リノベ アルヒスーパーフラット8 アルヒフラット35
頭金 7,700,000 7,700,000 3,850,000
毎月返済 84,102 91,316 104,403
繰上げ返済後 89,296 91,316 104,403
60歳残高 10,043,338 10,270,398 11,684,749
住宅ローン控除 0 0 0

スーパーフラット8は2割の頭金が必要です。これは今の家が売れたなら大丈夫ですね。もし売れなかった場合は素のフラット35になりますが、1割の頭金は必要となります。

これが用意できない場合はアルヒから変動金利で借りることになりますが、ちょっと高い金利になりますので、ここでは現金で用意したという前提でシミュレーションしています。

この住宅ローンに無理が無いか?を確認してみましょう。

私の著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本では、無理なく返済できる住宅ローンの4つのルールを提唱してます。良かったら、本の方も読んでくださいね!ブログでは分散しているノウハウを体系的にまとめていますので頭の中を整理できると思います。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

毎月の返済は、どれも手取り月収の4割以下になっていますね。定年時のローン残高については素のフラット35が少しオーバーしていますが、まあ許容範囲内です。

2重ローンの間は貯金を取り崩しながらということになると思いますが、基本的には3つのどのケースになっても大丈夫だと言えます。

借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

3850万円35年 アルヒスーパーフラット8リノベ アルヒスーパーフラット8 アルヒフラット35
印紙 20,000 20,000 20,000
登録免許税 30,800 30,800 34,650
保証料 0 0 0
事務手数料 665,280 665,280 374,220
司法書士報酬 70,000 70,000 70,000
フラット35物件検査 64,800 64,800 64,800
合計 850,880 850,880 563,670

フラット35は融資手数料です。後から借り換えで全額返済しても返金されません。なので、借り換えるなら、手数料率の安いプランで借りることをお勧めします。

スーパーフラットは金利が安い代りに手数料率が2.16%です。これに対して素のフラット35の手数料率は1.08%です。

もし借り換えを前提として一旦フラットで借りるという作戦になるのであれば、スーパーフラットではなく、素のフラット35で借りる方がロスが少なく済みます。

借り換える場合はこちらの年齢、年収、残高別の借り換えランキングが参考になると思います。

ランキング 年齢
20代 30代 40代 50代以上
借り換え 20代借換 30代借換 40代借換 50代借換

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

3850万円35年 アルヒスーパーフラット8リノベ アルヒスーパーフラット8 アルヒフラット35
頭金 7,700,000 7,700,000 3,850,000
借入費用 850,880 850,880 563,670
60歳まで返済額 26,477,160 27,394,800 31,320,900
60歳残高 10,043,338 10,270,398 11,684,749
住宅ローン控除 0 0 0
合計 45,071,378 46,216,078 47,419,319
リノベとの差額 1,144,700 2,347,941

頭金も含めて総支払額で比較をしました。なお、上記の借入費用は概算ですし、これ以外に購入手数料(仲介手数料など)もかかりますので、厳密な総額という訳ではありません。比較のための表です。

ベストチョイスのスーパーフラット8「リノベ」とベターチョイスのスーパーフラット8の差額は114万円です。やはり当初5年であっても0.5金利が安いというのは大きいですね。

リノベの対象になっているかどうかは、重要なポイントです。

もしも住宅ローン控除が受けらるのなら…?

ここでもしも15年間にわたって年末に20万の住宅ローン控除があったら?という前提で出してみました。

(単位:円)

3850万円35年 アルヒスーパーフラット8リノベ アルヒスーパーフラット8 アルヒフラット35
支払い合計 45,071,378 46,216,078 47,419,319
住宅ローン控除15年 -3,000,000 -3,000,000 -3,000,000
差引 42,071,378 43,216,078 44,419,319

300万円の破壊力はすごいですよね!素のフラット35の総支払額は4441万円となります。これは住宅ローン控除が受けられない前提でのベストチョイス(アルヒスーパーフラット8リノベ)の4507万円よりも少ない支払になるんです。

なので、住宅ローンの選択以前の段階ですが、住宅ローン控除を受けられる物件を選ぶという時点でほぼ勝負が決まっているようなところがあります。それをひっくり返すのは価格交渉です。その分安くしてもらうということです。

まとめ

2018年12月の税制改正大綱で、下馬評どおりに5年延長ということになれば、住宅ローン控除が受けられない中古物件はさらに100万のビハインドが生じることになります。

今このタイミングで住宅ローン控除を受けられない物件を買うのは、少し割高になっているように思います。

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本では、ブログでは分散してしまう基本的な考え方を系統立てて整理していますので、ぜひご一読いただければ嬉しいです!

ネットの情報は検索したワード単位でしか入手できないのが玉に瑕なのですよ。私のブログを全部読めばこの本を読んだのと同じ効果がありますが、さすがに全部読むのは時間と労力のムダです笑。

また、今月12日に発売の雑誌プレジデント社の不動産特集(2018年11月上旬号)に出てます!書店やコンビニで見かけられたら、お手にとってくださいね!

以上、参考になれば幸いです。

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