30歳世帯年収800万の共働き夫婦で5000万円の住宅ローンは?

2018年11月25日

30代は住宅ローンを返すポテンシャルが最も高い年齢層

 

こちらは千日の住宅ローン無料相談ドットコムにこれまで相談した方の年齢、年収ごとの物件価格と住宅ローンの平均をまとめた表です(2017年1月~2018年10月)。
(単位:百万円)

世帯年収(万円) 年齢
20代 30代 40代 50代以上
400未満 物件36.8
ローン33.3
物件28.4
ローン24.5
物件30.2
ローン22.6
物件20.6
ローン17.3
400~600
600~800 物件41.2
ローン37.8
物件41.2
ローン35.7
800~1000 物件47.6
ローン44.5
1000~1200 物件44.2
ローン35.0
1200~1500 物件69.5
ローン57.2
物件62.9
ローン59.3
1500~2000
2000以上

こうしてグループに分けて分析することで、年齢と年収によって不思議と物件価格、住宅ローンの金額は上記の平均値に収束していることが分かりました。

30代は全ての年齢層の中で最も高い家を購入し、多額の住宅ローンを組んでいます。社会に出てからキャリアを積み、自信もついてきていますし社会を支える主力となる年齢層です。

そして、定年までの年数も十分に長いですよね。それだけ住宅ローンを借りられる金額も大きくなります。

  • 20代は定年まで長いけど、収入が少なく今後が不透明(良く言えば未知数)。
  • 40代は収入が多くキャリアも確立してるが、定年までが短い。

30代は定年までの年数と収入の両方が高い水準でバランスが取れているのです。

今日はこの平均を超える住宅ローンを組んでも大丈夫なのか?というご相談者です。

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相談:30歳共働き夫婦子供2人(3人目予定)5000万円の注文住宅をフルローンで買えますか?

初めまして。このブログや、出版されてます本を購読して毎日勉強させていただいております。
ご意見、よろしくお願いします。

家族の年齢と年収 夫30歳(公務員430万手取330万円)・妻30歳(医療系400万手取り315万円)・こども(4歳・2歳)・もう1人予定(2020年頃)しております。
自己資金の額 住宅資金目的の貯金400万円(その他の預貯金は450万)
物件価格 4800〜5000万円
物件のタイプ 注文住宅(来年7月着工予定)。設計事務所の設計で、これから工務店3社に相見積もりを行い会社決定となります。
借入予定額 4800〜5000万円
住宅ローン 借入れ先はまだ未定ですが、伊予銀行(段階金利型・35年)を予定しています。(夫婦それぞれで借入れ予定)
相談内容 年収に対して借入額が多いような気がして不安です。
また、消費税の増税前と後ではどちらで契約した方がよいかも気になっています。

住宅ローンについて、それぞれ違うFPさん2組に年収や家族構成などを確認してもらい5000万円でも大丈夫ですと言われました。……しかし、本当に大丈夫なのか心配でなりません。

一応、現在の賃貸住まいの状況と比較して4800万円以内であれば大丈夫そうだよねと夫婦で話をしておりますが……これを超えた場合にどうなのか、又、ローンの借入れ方法についても専門的なご意見をいただきたいです。

回答①:無理なく返済できる住宅ローンの金額かを判定します

では今の夫婦の収入で5000万円の住宅ローンに無理が無いか?を確認してみます。注文住宅は見積もりで絞ってもどうしても足が出るものです。4800万というプランならば5000万まで想定しておいた方が良いかと思いました。

こちらは、私の著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本でご紹介している、無理なく返済できる住宅ローンを見積もる4つのルールです。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利(1.38%)
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

この4つのルールを、30歳の各年収でスタートし、無理なく完済できる住宅ローンの金額として、表にすると以下のようになります。

(単位:万円)

年収 月収 30歳
400 20 2663
600 25 3250
700 30 3755
900 35 4255
1000 40 5714
1200 50 7031
  • 夫:月収18万円で30歳なので2663万円弱。
  • 妻:月収17万円で30歳なので2663万円弱。
  • 世帯収入:月収35万円と考えると4255万円くらい。

二人のFPさんが「大丈夫」と言った住宅ローンは5000万円です。なのにどう見ても安全圏を超えているように見えますよね。

普通に考えてそんなに大きな差は出ないはずです。これはシミュレーションに使っている住宅ローンの金利が違うからだと思います。ご相談者は凄く有利な地銀の固定金利を見つけられたんですよ。

伊予銀行の段階金利型です。最長35年の固定金利なのですが、フラット35よりも低金利なんです!こちらその比較表です(2018年11月現在)。

伊予銀行(段階金利型) 当初10年 その後 融資手数料(税込み) 保証料
Aプラン 0.84% 1.18% 1.0% 約2.061%
Bプラン 0.77% 1.11% 2.0% 約2.061%
特別プラン 1.02% 1.16% 無料 約2.061%
フラット35S 1.20% 1.45% 1.08%~2.16% 無料

伊予銀行の段階金利型にはAプラン、Bプラン、特別プランと3種類あり、それぞれ金利と手数料が違います(金利が安いと手数料が高い)。気を付けて欲しいのは、これに加えて保証料も必要だということです。

例えばBプランだと2.0%の手数料を払う上に約2.069%の保証料を一括前払いor金利に0.2%上乗せで保証料を毎月払うことが必要になります。

しかし、それでもフラット35よりも十分に低金利ですよね。フラット35で性能の高い住宅の場合にだけ受けられる「S」と比較してもそれでも低金利です。

なので、この伊予銀行の段階金利型の3つのタイプで大丈夫なのか?という検討を行うことにしました。

回答②:資金繰り面、借入費用、総支払額の3つの側面をシミュレーション

では伊予銀行段階金利型の以下の3つを比較します。

  • Bプラン:金利10年0.77%→11年目1.11%で融資手数料2%と保証料
  • Aプラン:金利10年0.84%→11年目1.18%で融資手数料1%と保証料
  • 特別プラン:金利10年1.02%→11年目1.16%で保証料

31歳(来年なので)から35年元利均等返済ボーナス払い無し、定年の60歳で繰上げ返済する。住宅ローン控除は夫婦それぞれ上限まで10年間受ける前提です。以下の3つの面から比較をします。

  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 借入費用の比較シミュレーション
  3. 総支払額の比較シミュレーション

資金繰り面の比較シミュレーション

この資金繰りが一番重要です。結局のところ420回の支払いを完遂できるか?という判断をここで行います。以下の2つを確認します。

  • 手取り月収の4割以下か?
  • 定年時の残高は1000万以下か?

(単位:円)

5000万35年 Bプラン Aプラン 特別プラン
毎月返済 135,846 137,445 141,609
11年目~ 141,525 143,171 144,001
60歳残高 9,853,401 9,947,314 10,010,762
住宅ローン控除 4,296,500 4,303,700 4,322,100
  • 夫:月収18万円の4割は7.2万円
  • 妻:月収17万円の4割は6.8万円
  • 世帯収入:月収35万円の4割は14万円

つまり世帯収入で考えれば、最初の10年は概ね4割以下に抑えられているのです。

さらに60歳の残高についても概ね1000万以下ですね。

つまり、二人のFPさんはこうした判断をして5000万くらいまでは大丈夫という回答をしているのだと思います。

50:50の共働き夫婦に特有のリスクがあるので注意!

しかし、大丈夫というのは、夫婦二人の収入が今後定年までの間ずっと途切れないという前提があって初めて成立する「大丈夫」です。私はこの前提はとても脆い前提だと思っています。

どちらかが一時的に欠けても、継続が難しくなるからです。

例えば昔からよくあった共働き夫婦は夫80:妻20というタイプでした。この夫婦が世帯年収として100の年収があるという前提で若い時に住宅ローンを組むとします。その後、なんらかの事情で奥さんの20が入らなくなったとしても影響は少ないです。

そして、徐々に収入が増えてくれば、夫の収入はいずれ100に増えます。少々の予定が狂っても結果オーライです。

これに対して夫50:妻50の共働き夫婦ではどうでしょうか。夫婦合わせて100の年収があるという前提で住宅ローンを組み、同じように奥さんの収入が入らなくなったとしたら、収入は文字通り半減します。影響大です。

そして、今後夫の収入が増えるといっても2倍になるまでにはかなりの年数を必要とします。最終的にそこまで上がらないかもしれないです。

  • 80:20の人が世帯年収で判断する場合。
  • 50:50の人が世帯年収で判断する場合。

これは明らかに違います。リスクの質量としては同じですがその傾向と対策が異なるのです。

例えば、2020年に3人目のお子さんを予定されています。出産は新しい命の誕生で、もちろん喜ばしいことですが、同時に母体にリスクがあるイベントでもあります。

数年後にそうしたリスクを負うということは、財務的な側面から見ると数年後に収入が半減するリスクがあるという事でもあります。もちろん家族にとって収入が半減することより遥かに大きなダメージなのですが、今はカネの面だけを言ってます。それでも大きいダメージです。

従来型の80:20の共働き夫婦の場合なら「夫が妊娠出産する」なんて想定しないですよね。これは50:50の共働き夫婦に特有のリスクです。

これが、二人のFPさんに「大丈夫」と言われても、またご夫婦で「4800万までなら大丈夫そう」と話し合っても何となく抜けなかった不安感の正体ではないかと思います。

借入費用の比較シミュレーション

伊予銀行の段階金利型は保証料に加えて事務手数料がそれなりにかかります。プランによって大きく違うのでその違いを押さえておきましょう。

(単位:円)

5000万35年 Bプラン Aプラン 特別プラン
印紙 60,000 60,000 60,000
登録免許税 50,000 50,000 50,000
保証料 1,030,500 1,030,500 1,030,500
事務手数料 1,032,400 532,400 32,400
司法書士報酬 70,000 70,000 70,000
合計 2,242,900 1,742,900 1,242,900

原則としてこれらを最初にキャッシュで払う必要があります。現在の自己資金であれば、どのタイプでも大丈夫だと思います。

総支払額の比較シミュレーション

借入費用込みでの総支払額の比較シミュレーションです。ただし、司法書士報酬などは概算ですし、これ以外に購入に係る費用が必要ですので、その点ご了承くださいね。

(単位:円)

5000万35年 Bプラン Aプラン 特別プラン
借入費用 2,242,900 1,742,900 1,242,900
60歳まで返済額 48,569,220 49,136,388 49,825,308
60歳残高 9,853,401 9,947,314 10,010,762
住宅ローン控除 -4,296,500 -4,303,700 -4,322,100
保証料払い戻し -12,900 -12,900 -12,900
支払い合計 56,356,121 56,510,002 56,743,970
Bプランとの差額 153,881 387,849

金利が一番低いBプランが最も総支払額でお得という結果になりました。

また、伊予銀行は正式申込時点と融資実行時でいずれか低い方の金利が適用されるのも魅力ですね。ただしその有効期限は6か月です。正式申込時点と融資実行時で6か月以上離れてしまうと、融資実行時の金利になります。

なので、完成引き渡しの日から遡って6か月前に正式申込をするのがオススメとなります。ただ工期が遅れる可能性も考えて1カ月くらいは余裕を見ておいた方がいいでしょう。

回答➂:消費増税の前か後か?経過措置は選択適用ではないので注意!

これから契約ということですと、消費増税の境目です。

  • 住宅ローン減税の延長がありそうなのであえて増税後か?
  • シンプルに増税前の8%がトクか?

という問題もありますよね。住宅ローン控除の期間の延長がどれだけあるか?がキーです。もし今ウワサになっている5年の延長だとすると、増税後の方がオトクになります。

不動産の価格は土地と建物から成り立っていますが、そもそも土地には消費税がかかりません。なので注文戸建て住宅の消費増税の影響はザックリ以下のようになります。

  • 建物の代金(半分)で2%増
  • 住宅ローンの手数料でMAXでも0.04%増
  • その他司法書士報酬や引っ越し代などで概ね1万円増

意外とこんなものです。もちろん上記以外にも費用はありますが、印紙税や登録免許税などの税金ですから消費税のかからない費用なのです。

5000万円の注文住宅で住宅ローンが5000万円とし、伊予銀行(段階金利型)のBプランで借りたとして、消費増税の影響と住宅ローン控除の延長の影響を比較すると以下のようになります。

(単位:千円)

5000万円 住宅ローン控除延長影響額
増税影響 10年 15年 影響
530 4,297 5,953 1,656

消費増税の影響で支払は53万円増えますが、住宅ローン控除が15年に延長されたことで税金のキャッシュバックは165万6千円増えますので、増税後の方が112万6千円もお得になります。

詳しい計算の前提や、他のケースについては消費増税でも住宅ローン減税5年延長の方がトク⁉増税影響と控除増の早見表 |千日のブログをどうぞご一読ください。1000万から8000万まで、新築、中古全てのケースで早見表を公開しています。

請負工事等に係る消費税の経過措置の注意点

原則として注文住宅の建物の引き渡しが2019年10月1日以降になれば、10%の消費税になります。しかし、注文住宅の請負工事については経過措置がとられています。

この経過措置というのは消費税が10%となった2019年10月1日以降の取引であっても「一定の要件を満たす取引については8%のまま据え置く」というものです。

2019年3月31日以前に建築工事等の請負契約を行っている場合にはその建築・工事等の引き渡しが2019年10月1日以降であっても消費税8%が適用されるというものです。

図にするとこんな感じです。

但しこの経過措置は8%か10%かを選択適用できるわけではなくて、強制適用です。つまり、2019年3月31日に契約をしたら、10%の税率適用にしたいと思っていても、強制的に8%の税率になります。

注意が必要ですね。予め8%か10%かを決めたうえで契約時期を決める必要があります。

消費税の増税と住宅ローン控除についての情報は適時に千日のブログで取り上げますのでたまにのぞいてくださいね。

まとめ~50:50の共働き夫婦の住宅ローンのリスク

おそらくですが、不安の正体は50:50の共働き夫婦の住宅ローンのリスクというものについて、ケアする方法が確立されていないという点にあると思います。

二人のFPさんも、従来型を前提にして計算上では大丈夫なので、大丈夫とは言いながら、なんか引っかかってっている部分があるんじゃないでしょうか。

なので、5000万も4800万も、夫婦二人が定年まで途切れずに収入があるという前提に立っているという点で、どちらもそんなに変わらないのですよね。

だからと言って…

家か3人目の子どもかどっちかを選ぶ。

こういう問題でも無いと思います。これは、家を買う買わない以前からあったリスクだからです。そうですよね?1人目、2人目のお子さんのときも同じリスクがあったはずです。

今回、こうして家を買うということがきっかけで、今まで潜在していたリスクというものがハッキリ目に見えるようになってきたということではないでしょうか。

以上、参考になれば幸いです。

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