50代から定期借地権付き新築マンションを購入します頭金はいくら入れる?

2019年11月15日

50代から70年の定借マンションを購入する住宅ローンの考え方

 

定期借地権マンションは、借地権の満了時には建物を取り壊して地主に返還することが決まっているマンションです。期間が満了すればその時点で明け渡さなくてはなりません。

ただの借地権ではなく、「定期」と頭についている定期借地権は、期間が定められていて原則として更新をしないことが前提になっています。

敷地が定期借地権になっている住宅を購入するときは、期間の満了時には返還しなければならないことが決まっていることをハッキリ認識しておかなければなりません。

では今日のご相談者です。

定年後も住宅ローンの返済を続けつつ老後破産しないための方法とは?-千日のブログ

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相談:定期借地権70年の新築マンションの頭金は?

唐突なご連絡、誠に失礼いたします。自宅購入にあたり住宅ローンについての参考情報を探していたところ、
千日様のHPと著書家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本を知るに至りました。

類書が少ないなか、情報量の多さとその質の高さに驚きました。大変得るところが多く深く感謝しております。

居住予定の家族の年齢と年収 夫:52歳(約1,700万)
内訳は、給与額面年収が1,530万で、不動産収入が200万、60歳定年。65歳まで再雇用あり。
妻:50歳(専業主婦)ただし、今後パートに出ることも想定、長男:18歳、長女:13歳
自己資金の額 1,000万円 

2021、2033年にそれぞれ500万円の満期保険金受け取り予定

物件価格 購入物件価格:4,898万手付金5%入金済みです。
物件のタイプ 新築マンション(70年の定期借地権付)2019年3月引渡し予定。
なお、管理費・修繕積立・駐車場代等で、月額63,000円です。取り壊し費用(解体積立金)も含まれます。
借入予定額 4,500万円
住宅ローン 販売業者さん経由でりそな銀行での仮審査済みです。
物件金額満額の27年ローンが承認されております。
相談内容 ・ローン控除との関係で頭金をいくらにするのが良いか。
・50代からのローンの組み方と商品選定。

回答①:ローン控除との関係で頭金をいくらにすべきか

住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高の1%を所得税等から返金する減税制度です。

一般の新築住宅の上限は40万円ですので、これに対するローン残高は4000万円ということになります。

そしてもう一つ、年間に払っている所得税等も上限になりますが、年収が高いですので、他によほどの税額控除を受けない限りは年間40万まで控除できるものと思います。

従って、基本的には金利が1%を下回っている限りはローン残高が多い方がお得となります。

回答②:変動金利と固定金利でそれぞれシミュレーション

では、仮審査の通ったりそな銀行変動金利(0.47%)と固定金利(1.38%)で頭金を変えてシミュレーションし、比較しましょう。

前提条件

  • 物件価格:4898万円
  • 借入期間35年、元利均等返済ボーナス払いなし
  • 60歳の定年時にそのときの残高を全額繰上げ返済する

これで以下の3つの頭金パターンでシミュレーションを行います。

    1. フルローン
    2. 手付金5%(250万)を頭金にする
    3. 頭金2割

変動金利はフルローンの方がおトク

りそな銀行変動金利0.47%でそれぞれの頭金でどうなるか比較してみました。

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

変動0.47% フルローン
4898万円
頭金250万
4648万円
頭金2割
3918万円
10年毎月返済 160,997 152,779 128,784
60歳残高 35,109,469 33,317,487 28,084,749
10年後残高 31,559,595 29,948,817 25,245,149
住宅ローン控除 3,906,000 3,648,000 3,156,000

借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

変動0.47% フルローン
4898万円
頭金250万
4648万円
頭金2割
3918万円
印紙 20,000 20,000 20,000
登録免許税 48,980 46,480 39,180
保証料 890,946 845,471 712,684
事務手数料 32,400 32,400 32,400
司法書士報酬 100,000 100,000 100,000
フラット36物件検査手数料 0 0 0
合計 1,092,326 1,044,351 904,264

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

変動0.47% フルローン
4898万円
頭金250万
4648万円
頭金2割
3918万円
頭金 0 2,500,000 9,800,000
借入費用 1,092,326 1,044,351 904,264
62歳までの返済額 19,319,640 18,333,480 15,454,080
62歳残高 31,559,595 29,948,817 25,245,149
住宅ローン控除 -3,906,000 -3,648,000 -3,156,000
保証料払い戻し -265,570 -252,015 -212,434
合計 47,799,992 47,926,634 48,035,059
差額   -126,642 -235,068

便宜上、比較のために住宅ローン控除の10年が経過したら全額返済するものとして比較しています。

実際にそうするかどうかは別として、頭金を多く入れるor入れないでどれだけ差が出るのかという目安のようなものです。

このように、理論的には、頭金を入れないフルローンの方が数字の上ではお得となります。
ただ、それほど大きな差ということは無いですね。

また、変動金利ですので今後上がる可能性がありますが、そのリスクは反映していません。

固定金利は頭金が多い方が支払は少なくなる

資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

フラット1.38% フルローン
4898万円
頭金250万
4648万円
頭金2割
3918万円
10年毎月返済 181,167 171,920 144,918
60歳残高 36,316,415 34,462,776 29,050,237
10年後残高 32,926,107 31,245,512 26,338,286
住宅ローン控除 3,814,000 3,713,000 3,226,000

借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

フラット1.38% フルローン
4898万円
頭金250万
4648万円
頭金2割
3918万円
印紙 20,000 20,000 20,000
登録免許税 48,980 46,480 39,180
保証料 0 0 0
事務手数料 528,984 501,984 423,144
司法書士報酬 100,000 100,000 100,000
フラット36物件検査手数料 64,800 64,800 64,800
合計 762,764 733,264 647,124

総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

フラット1.38% フルローン
4898万円
頭金250万
4648万円
頭金2割
3918万円
頭金 0 2,500,000 9,800,000
借入費用 762,764 733,264 647,124
62歳までの返済額 21,740,040 20,630,400 17,390,160
62歳残高 32,926,107 31,245,512 26,338,286
住宅ローン控除 -3,814,000 -3,713,000 -3,226,000
保証料払い戻し 0 0 0
合計 51,614,911 51,396,176 50,949,570
差額   218,735 665,341

便宜上、フラット35の金利(予想金利)としています。実際にフラットで借りる場合は1割の頭金が必要ですのでフルローンは出来ません。

また、2割の頭金を入れることによって、フラット35の金利から0.1%引き下げとなる商品(アルヒスーパーフラットなど)もあります。

金利が1%を超える場合は、頭金を多く入れておいた方が、総支払額は少なくなります。

回答➂:50代のローンの組み方と商品選定

フラット35にしておくことによって、この物件を保有しながら賃貸に出すということも可能となります。

(参考)

自宅を売却せず低金利の住宅ローンで借りながら賃貸収入で儲ける方法を教えます -千日のブログ

借地権付き物件は一般的には売却しにくいですし、管理費、修繕積立金に加えて取り壊しの積立金がかかるのがネックですね。

駐車場込みとはいえ、ローン返済以外の月間の支出が5万を超えるのは、固定的な支出の負担が大きいように思いました。

将来的に転居する際に賃貸にまわすという選択肢が採れれば、地代や管理費は損金にして節税できますので、金利以上のメリットがあると思います。

また、変動金利で借りる場合は今後の金利上昇リスクに対応するための資金、完済のための資金を用意しておく必要があります。

以上、参考になれば幸いです。

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