勤め先提携の固定金利か?ハウスメーカー提携の変動金利か?

2019年8月14日

住宅ローンを借りる場合に、勤め先の福利厚生の一環として有利な金利で住宅ローンを借りられる場合がありますね。その多くは固定金利です。

これに対して変動金利なら、さらに低金利で借りられる場合があります。

そこで、悩むのが固定金利か変動金利か?という問題です。

勤め先の提携で借りられる住宅ローンは従業員としての地位に基づいてということになります。なので、将来的に転職した場合にはそのまま同じ条件で借り続けることは難しいでしょう。

この点、勤め先とは関係のない銀行から変動金利で借りるならば、転職しても同じ条件で借り続けられます。しかし、金利の上昇リスクは常にありますよね。

今日はそんなご相談者からの質問です。

勤め先の提携ローンか?ハウスメーカーの提携ローンか?

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質問:勤め先の固定金利かハウスメーカー提携の変動か?

家族の年齢と年収 夫29歳 年収600万
妻31歳 年収200万(来年7月まで育休)
子供2人(1歳と0歳)
自己資金の額 頭金として3000万(親から贈与を受けています)、その他に夫婦共同の貯金が約200万、夫名義の株式や独身時代からの貯金が1500万ほど。
物件価格 約5900万(土地1900万 建物3900万 諸費用100万)
物件のタイプ 新築戸建て(2019年10月完成予定)
借入予定額 2900万円
住宅ローン 豊田信用金庫の変動くんハウスメーカー提携金利(0.47%)
勤め先の会社提携で35年固定金利(0.865%)
どちらが良いかで迷っています。
変動くんの事務手数料と保証料については、約5万円。
勤め先の会社提携の固定の事務手数料と保証料は金利に含まれているのでゼロ円。さらに、勤め先の会社から60万円の補助がでます。
ただし、会社を辞めることになった際にはその時点で一括返済すべしとの制約があります。
相談内容 あまり金利変動リスクを取るタイプではないのです。
しかし、変動のリスクに対しては独身時代の貯蓄で対応出来そう且つ妻もハウスメーカー担当者も変動金利推しで迷っています。

回答①:勤め先の提携ローンと35固定で業界最安の住信SBIフラット35保証型を比較する

もしも固定金利を選ぶとすれば、今の勤め先の提携ローンと業界最安の固定金利でどれだけ違ってくるか?という比較をしてみました。

今のところ35年固定金利で業界最安は、住信SBIネット銀行フラット35Sで頭金を2割以上入れるものです。金利については千日のブログで予想している9月の予想金利を使っています。詳しくはこちらをどうぞ。

【金利予想】2019年9月のフラット35金利はいよいよ1.1%台を切る!-千日のブログ

  勤め先提携住宅ローン 住信SBIネット銀行フラット35S保証型(頭金2割以上)
金利

35年0.865%

当初10年0.72%

その後0.9%

手数料 なし 借入額の2.2%(増税後)
団信 一般の団信 一般の団信に全疾病保障が付帯する
その他 退職したら一括返済 退職してもそのまま借り続けられる

これで以下の3つの側面から比較します。

  • 資金繰り面の比較
  • 借入費用の比較
  • 総支払額の比較

資金繰り面の比較

(単位:円)
物件5900万円
借入2900万円
勤め先提携住宅ローン35年固定 住信SBIフラット35S(保証型) 差額
頭金 30,000,000 30,000,000 0
毎月返済 80,050 78,133 1,917
11年目~返済 80,050 79,855 195
10年後残高 21,589,213 21,445,548 143,665
60歳残高 3,775,601 3,763,421 12,180

資金繰りの面でそんなに差は無いですね。毎月の返済額の差はわずかです。考え方としては、勤め先の提携ローンの場合は転職するときに一括返済しなければならないので、転職の直前には住宅ローンを他行へ借り換えなければならないということです。

転職して間もないタイミングは、審査で不利となりますが、この場合、転職する前に借り換えることになりますので、審査で不利になるということはありません。

現時点の年収に対して借入残高は大きくないです。10年後には2千万円くらいまで減っていますので、借り換え先で困るということは無いでしょう。

借入費用の比較

(単位:円)
物件5900万円
借入2900万円
勤め先提携住宅ローン35年固定 住信SBIフラット35S(保証型) 差額
印紙 20,000 20,000 0
登録免許税 29,000 29,000 0
保証料 0 0 0
事務手数料 0 638,000 -638,000
司法書士報酬 60,000 60,000 0
フラット35物件検査 0 66,000 -66,000
勤め先補助 -600,000 -600,000 0
合計 -491,000 213,000 -704,000

借入費用では70万円もの差が出来ました。これは勤め先の提携ローンでは融資手数料がゼロ円という破格の条件があるからですね。金利が安いうえにこれはかなりの好条件と言えます。

なお、勤め先からの補助は提携ローンでもフラット35でも60万円が支給されるということですので、それも反映しています。

勤め先の提携ローンでは借入費用がマイナスとなっています。つまり逆に儲かるということですね。これを引越し費用などに充てることができます。

では次に総額でどうなるか見てみましょう。

(単位:円)

物件5900万円
借入2900万円
勤め先提携住宅ローン35年固定 住信SBIフラット35S(保証型) 差額
借入費用 -491,000 213,000 -704,000
頭金 30,000,000 30,000,000 0
定年まで返済額 29,778,600 29,499,420 276,840
定年時残高 3,775,601 3,763,421 12,180
住宅ローン減税 -3,098,400 -3,083,300 -15,100
合計 59,964,801 60,392,541 -430,080

 

勤め先の提携住宅ローンの方が43万円も少なくすむという結果になりました。住信SBIネット銀行のフラット35保証型は破格の金利の安さなので、定年までの返済総額ではフラット35の方が安くなります。

しかし、勤め先の提携の住宅ローンは、借入費用が70万円も安くなるので、そのリードが最後まで効いているという感じですね。

固定金利を選ぶとすれば、まずこの勤め先提携の住宅ローンが最も有利となります。

なお、転職したら一括返済しなければならないということがありますが、この借入残高であれば、将来借り換えとなったときにさほどのリスクにはならないと思います。

回答②:ハウスメーカー提携の変動金利と業界最安の変動金利を比較する

次は変動金利です。固定のときと同じく、変動金利の最安と比較をしましょう。変動金利の最安は住信SBIネット銀行、じぶん銀行で0.457%です。

  ハウスメーカー提携住宅ローン 住信SBIネット銀行又はじぶん銀行
変動金利

0.47%

0.457%

手数料 5.5万円 借入額の2.2%(増税後)
団信 一般の団信

一般の団信にガン50%や全疾病保障が付帯する

ハウスメーカーの提携ローンは金利は少しだけ高いですが、融資手数料と保証料が5.5万円という点が魅力ですね。これは安すぎるので、念のため確認しておいてくださいね。

例によって3つの側面から比較します。

  • 資金繰り面の比較
  • 借入費用の比較
  • 総支払額の比較

資金繰り面の比較

(単位:円)

物件5900万円
借入2900万円
ハウスメーカー提携変動 ネット銀行変動 差額
頭金 30,000,000 30,000,000 0
毎月返済 74,895 74,729 166
10年後残高 21,195,087 21,181,970 13,117
60歳残高 3,560,894 3,553,974 6,920
住宅ローン控除 3,061,400 3,060,100 1,300

ネット銀行の変動金利の方が金利が低いとはいっても、資金繰り面でほとんど差はないですね。ベースとしての金利が低いため、毎月の支払面の差は本当に僅差なのです。

借入費用の比較

(単位:円)

物件5900万円
借入2900万円
ハウスメーカー提携変動 ネット銀行変動 差額
印紙 20,000 20,000 0
登録免許税 29,000 29,000 0
保証料 0 0 0
事務手数料 55,000 638,000 -583,000
司法書士報酬 60,000 60,000 0
フラット35物件検査 0 0 0
合計 164,000 747,000 -583,000

ハウスメーカー提携ローンの方が58万円も安くなりましたが、これは保証料と融資手数料が合わせて5.5万円だからです。

ネット銀行の方は金利は安いですが、融資手数料が2%+消費税なので、高いですね。では、総支払額の比較をします。

総支払額の比較

(単位:円)

物件5900万円
借入2900万円
ハウスメーカー提携変動 ネット銀行変動 差額
借入費用 164,000 747,000 -583,000
頭金 30,000,000 30,000,000 0
定年まで返済額 27,860,940 27,799,188 61,752
定年時残高 3,560,894 3,553,974 6,920
住宅ローン減税 -3,061,400 -3,060,100 -1,300
合計 58,524,434 59,040,062 -515,628

 

支払い総額で51万円ハウスメーカーの提携ローンが安くなるという結果になりました。融資手数料の差がほぼそのまま総支払額の差になったということですね。

固定金利にしても、変動金利にしても、業界最安の住宅ローンよりも有利な商品で比較ができているということですね。すばらしいです。

回答③:固定でも変動でも返済可能な場合の金利タイプの決め方

ご相談者の場合、今回住宅ローンには組み込んでいる貯金以外にも、夫婦共同の貯金が約200万、夫名義の株式や独身の貯金が1500万ほどあり合計1700万円の貯蓄があるため、もし金利が上がったとしても対応できるだけの蓄えがあります。

つまり、固定でも変動でも返済可能で、かつ今の選択肢は私の知る限り業界最安の住宅ローンよりも有利な住宅ローンです。

こうなると、目をつぶってどっちを選んでも、まず失敗することは無いというような状況です。普通は金利の上昇リスクに対応できないとか、毎月の返済が高すぎるとか、そうした制約をクリアできる住宅ローンということで自然と決まってくのです。

なので、どうぞご自由に…と言うのではせっかくご相談いただいたのに申し訳ないです。

ここまでは、特に負債の面からリスクが無いか?コストは?という見方で考えてきました。そこで差が無いということでしたら、資産の面から考えていきます。

資産の保有ポリシーから借入の金利タイプを決める

言うまでもなく、住宅ローンは家を購入するための借入金です。家と住宅ローンはセットなのです。

例えば、これから購入する家は、転勤などがあったとしても、また子どもが独立した後も、30年くらいは住むつもりだというポリシーなら、借入金である住宅ローンも長期の固定にしておいて損はありません。

逆に、あくまで現時点でのベストな住まいであって、今後のライフスタイルの変化によっては住み替えする可能性も否定できないというポリシーであれば、30年もの間金利を固定する必要は無いということになります。むしろ変動金利の方が適合しているのです。

今回の固定金利は勤め先の提携ローンということもあるので、今後のキャリアについても思いをはせることになるかと思いますが、これに関しては必ずしもポリシー通りになるものではありませんので、度外視しても良いと思います。

これから建てる家に対するポリシーですので、こうした観点からもご夫婦で相談されてはいかがでしょうか。

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以上、ご参考になれば幸いです。