40代公務員の定年延長も加味した住宅ローンのプラン

2020年4月18日

私は定年までに無理なく完済できる住宅ローンを組むことをお勧めしておりまして、以下の4つのルールを当てはめて住宅ローンのシミュレーションを行います。

  1. 毎月の返済額は絵取り月収の4割以下、ボーナス払いなし
  2. 元利均等返済方式
  3. シミュレーションは固定金利
  4. 定年時残高は1千万以下

40歳から住宅ローンをスタートする場合は、定年までの期間が約20年です。35年返済の契約として、『4.定年時残高は1千万以下』は20年後の残高を考えるということになりますね。

ただ、最近は本人が希望すれば65歳まで定年延長または再雇用することが義務付けられており、公務員の定員も65歳への延長が検討されています。現時点では60歳定年ですが、65歳定年のケースも想定してシミュレーションするのが妥当かと思います。

では今日のご相談者です。

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相談:40歳からスタートする公務員ですフラット35を軸に考えていますが、他の選択肢はどうでしょうか?

自己資金としては、頭金1割を入れることができるのでフラット35を第一希望として考えています。

2割入れることでさらに金利が引き下げになる(アルヒや住信SBIの保証型)ので、親からの贈与税の非課税枠を利用して援助を打診してみようかと考えています。

公務員の定年延長が決まりそうなのでその観点からもアドバイスをお願いします。アドバイスいただけますと幸いです。

家族の年齢と年収私(40才)妻(38才)。子どもなし(今後もつくらない)。私は地方公務員で年収700万、妻はパート勤務で年収90万です。
自己資金の額頭金330万~660万(ほかに購入手数料分の現金あり)
物件価格3280万
物件のタイプ注文住宅(土地込み)2020年6月引き渡し予定
借入予定額2620~2950万円
住宅ローン全期間固定のフラット35S(10年引き下げ)で、住信SBI、アルヒの保証型で審査を通して有利な方で借入を考えています。(アルヒは提携で手数料半額)
相談内容1.住信とアルヒのどちらにするべきか。返済総額は手数料含めてアルヒのほうが少し安いですが住信の「全疾病保障」も魅力的に感じます。
2.最近は変動金利も魅力的です。
3.住信,アルヒ以外の全期間固定金利の選択肢は?

回答①:定年延長を加味して住宅ローンのリスクを把握する

冒頭にご紹介した4つのルールを実際の住宅ローン金額に当てはめたのものが下記の表です。

(単位:万円)

年収月収35歳40歳
3001519971997
4002026632440
6002532502860
7003037553248
9003542553680

年収700万で40歳のところは3248万円です。これは60歳定年を前提にしているため、65歳の定年であるならば、5歳若い年齢のところを見るようにします。つまり、3755万円ですね。

ですから、現時点で予定されている借入額2620~2950万円は、かなりゆとりのある住宅ローンといえるでしょう。そのため、変動金利を選択しても対応は可能と思われます。

変動金利のリスクを見える化して判断する

既に変動金利で毎月の返済額がどれだけ安くなるかはシミュレーションされていると思います。だいたい3000万円の借入で固定金利と変動金利の差は6千円くらいですね。

これに対して、金利が上がったらどれだけ支払が増えるか?という目安を確認しておくと良いかと思います。

下記は3000万円を変動金利0.5%(35年元利均等返済ボーナス払いなし)で借りて、その後に金利が上がった場合に、どれだけ支払が増えるか?という目安を表にしたものです。

(単位:万円)

残期間30年25年20年15年
残高2,607 2,199 1,781 1,352
0.5%→1.0%182 129 85 49
0.5%→1.5%347 249 165 96
0.5%→2.0%497 359 239 140
0.5%→2.5%633 460 309 183
0.5%→3.0%757 554 375 223
0.5%→3.5%870 641 436 261
0.5%→4.0%973 721 494 298

例えば5年後に金利が0.5%から1.0%に上がったとしたら?残期間『30年』と『0.5%→1.0%』のところを見ます、182万円ですね。

これは、5年後に金利が0.5%から1.0%に上がったら、その時点で182万円を繰上げ返済しておけば、その後も同じ毎月返済額で、予定通り完済できるということです。

親からの援助を手数料の支払いに充てて、自己資金をこのために温存しておき、さらに毎月の返済が少なくなる分を金利が上がったときのために貯蓄していけば、概ねの金利上昇には対応できます。

期間に余裕があるので変動金利でも審査を通しておく

物件の引渡し、融資の実行までに数か月もの期間がありますので、今の状況をベースに金利動向を予想するにも限界があります。変動金利でも審査に出しておき、固定金利が割高になった場合に備えておくことをお勧めします。

オススメは、千日のブログの2020年3月の金利を先読み住宅ローンランキングに上がっている変動金利、ないし短期の固定金利です。ご参考にどうぞ。

回答②:総支払額で差が無ければ団信などの付加価値で決める

次に、固定金利で借りるということをベースとして、現時点でめぼしい住宅ローンを比較してみます。

既に審査に出されているアルヒと住SBIの保証型でフラット35S(当初10年0.25%引き下げ)というのは、超長期固定金利で最安です。融資手数料が2.2%と割高なのですが、金利の低さでトータルでトクになることが多いです。

これに加えてもう一つ検討に入れるなら、40歳という年齢を加味して20年固定金利ですね。

20年固定ではauじぶん銀行が最安です。さらに執筆時点では『じぶんでんき』の契約とセットにすることで、住宅ローンの金利が0.03%引き下げとなります。さらにauじぶん銀行はガン50%保障と全疾病保障が金利上乗せなしで付帯します。

そこで、以下の3つを比較してみることにしました。

  • アルヒスーパーフラット8S(提携ローンで手数料半: 0.92% ➤1.17%
  • 住信SBIネット銀行フラット35S(頭金2割):0.86% ➤1.11%
  • auじぶん銀行20年固定: 0.981%-0.03%=0.951%

資金繰り面の比較

(単位:円)

物件3280万円
借入2620万円
アルヒスーパーフラット8S住信フラット保証型Sauじぶん銀行20年固定
頭金6,600,000 6,600,000 6,600,000
毎月返済72,98672,26173,362
毎月返済(11年目から)75,20674,46673,362
20年後残高12,410,23312,342,18612,301,899
25年後残高8,512,8548,454,091 
住宅ローン控除2,587,4002,584,2002,589,100

毎月の返済額は数千円しか変わらないですね。20年後の残高も有意な差ではありません。

auじぶん銀行の20年固定は、固定期間が終わった後の引き下げ幅が0.8%しかないので、その時点で完済しなければ損になります。そのため、あえて25年後の残高は想定しません。

総支払額の比較

(単位:円)

物件3280万円
借入2620万円
アルヒスーパーフラット8S住信フラット保証型Sauじぶん銀行20年固定
借入費用480,400768,600702,600
頭金6,600,0006,600,0006,600,000
20年返済額17,783,04017,607,24017,606,880
20年後残高12,410,23312,342,18612,301,899
住宅ローン減税-2,587,400 -2,584,200 -2,589,100
合計34,686,273 34,733,826 34,622,279
アルヒとの差0-47,55363,994
団信一般全疾病ガン50%と全疾病

総支払額でも有意な差は出ませんでした。そうなると、金額以外の判断基準でどれが良いか?ということになるでしょう。

アルヒのスーパーフラットは一般の団信です。住宅金融支援機構の団信とは違います。住宅金融支援機構の団信は死亡と高度障害に加えて身体障害保障が付くのですが、アルヒのスーパーフラットについては死亡と高度障害だけなので、その点注意が必要です。

そうなると、アルヒよりは住信SBIネット銀行、住信SBIネット銀行よりはauじぶん銀行が有利ということになるでしょうね。

まとめ~複数の金利タイプ、金融機関で審査を通しておきましょう

実行を予定している2020年6月までには、現時点でまだ5か月あります。現在審査に出されている2つのフラット35は1月時点では、おそらくベストチョイスと言って良いものだと思いますが、5か月後においても同じとは限りません。

金利タイプを変えて審査に出すという準備をしておくことをお勧めします。

以上、参考になれば幸いです。

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