フラット35Sで借りてすぐ変動金利へ借り換えます
住宅ローンの借り換えには費用がかかります。なので、すぐに借り替えるくらいなら、最初からその借り換えようと思っている住宅ローンで借りていれば良かったということになります。
しかし、訳あって当初は住宅ローンの選択肢が少なく、希望の住宅ローンでは借りられなかったので、希望とは違う住宅ローンで借りざるを得なかったというケースがあります。そういう場合は、できるだけ早く借り換えるべきです。
借り換えメリットを大きくするための4つの条件があります。当サイトにおいて『借り換えメリット』とは、住宅ローンの借り換えにより、借り換え費用込みで総支払額が少なくなる金額を言います。
- 借り換え費用が少ない方がいい
- 残り期間は長い方がいい
- 返済残高は多い方がいい
- 現在の住宅ローン金利から低くなるほどいい
1.借り換え費用と4.金利が既定のものとすれば、2.残り期間と3.返済残高が減ってしまう前に借り替えるのが合理的です。特に変動金利はほぼ底になっていますので、この先さらに大幅に下がる期待は持てません。
しかし一方で、今のフラット35は十分に低金利です。無理に借り換えず、このまま借り続けても損しないのでは?とも思えますね。
今日はそんなご相談者です。回答は千日太郎YouTubeチャンネルでも行っています。チャンネル登録と更新通知(すべて)を設定すれば最新の動画を見逃しません。
【無料相談】フラット35で借りた翌月に変動金利に借り換えたい|千日太郎YouTube動画
YouTubeでは主に質的な側面から回答しています。データの分析や量的な側面からの解説については、こちらのブログの記事を参照してください。
相談者のデータ(年齢、年収、自己資金、物件価格、借入金額など)
家族の年齢と年収 | 夫44歳(1000万円)、妻(扶養)、子供は高校生と大学生 |
自己資金の額 | 300万円 |
物件価格 | 5,300万円 |
物件のタイプ | 注文住宅 |
借入予定額 | 5,100万円 |
住宅ローン | 2020年1月29日実行、優良住宅ローンのフラット35 フラット35S:借入 4,590万円(当初10年1.020%その後1.270%) フラットプラスワン :借入510万円(変動金利2.725%) |
相談内容 | 夫の父がガン家系のうえ高血圧で投薬経過観察中です。夫は今のところ健康面に不安はありませんが、将来、万が一をカバーできる安心な住宅ローンはどれでしょうか? また、社会情勢を見ていると、順調に主人の収入が伸びていくのだろうか。変動金利に変更して良いのだろうか。と若干不安を感じます。反面、社会がこの状況だと金利が上がることは考えにくい。とも思います。 |
回答①:低金利の変動金利で団信の保障が厚い住宅ローン
まずは、「今すぐに変動金利に借り替えるならば?」という前提でお勧めの借り換え住宅ローンを2つ挙げます。
auじぶん銀行のがん50%保障と全疾病保障
変動金利としては0.457%で低金利、金利上乗せなしで付帯する団信にはがん50%保障と全疾病保障(180日の就業不能で住宅ローンがゼロ円)がついてきます。
同様の低金利の住宅ローンで金利と団信を比較すると以下のようになります。
金利 | 金利上乗せナシでつく団信の保障内容 | |
ジャパンネット銀行 | 0.399% | 死亡と高度障害及び余命宣告 |
住信SBIネット銀行 | 0.415% | 死亡と高度障害及び余命宣告+全疾病保障(12か月就業不能でゼロ円) |
auじぶん銀行 | 0.457% | 死亡と高度障害及び余命宣告+がん50%保障+全疾病保障(180日就業不能でゼロ円) |
3つの中ではauじぶん銀行は最も金利が高いですが、そもそもすごく低金利の中での誤差レベルの差です。じぶんでんきとセット契約で上記の金利から0.03%優遇されますので、これを利用するとすればさらに差は縮まりますね。
それに対して団信の保障内容には明らかに差があります。総合的に見て金利上乗せなしの前提ならauじぶん銀行の変動金利がおすすめです。
三菱UFJ銀行の「7大疾病保障付住宅ローン」の〈3大疾病保障充実タイプ〉
金利に上乗せし、さらに厚い保障をつけたいなら三菱UFJ銀行がお勧めです。中でも「7大疾病保障付き住宅ローン」の〈3大疾病保障充実タイプ〉は早期の段階で保険金を受け取ることが出来るケースが、他行と比べて多いのが特徴です。
住宅ローンの金利に0.3%上乗せとなりますが、がんの診断(90日の待機期間があります)や、脳卒中(脳梗塞など)・急性心筋梗塞の入院時点で、住宅ローン残高が0円になります。入院時点でゼロ円になるという団信はまず他行で見たことはありません。
三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローンならば銀行窓口よりも0.1%低金利となり、団信の金利上乗せ分が緩和されます。さらに電子契約にすれば印紙税(借入5000万以上からは印紙税6万円)もかかりません。
ネットで申し込み(公式サイトへ)☟回答②:借り換えメリットのシミュレーション
では、借り換えメリットを計算してみましょう。借り換えには費用が必要ですから、当サイトにおいて借り換えメリットとは、借り換え費用を払ったうえで総支払額が少なくなる、その差額を言います。
著書の住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本では、以下の3つの切り口から検討することをお勧めしています。
- 資金繰り面の比較
- 借入費用の比較
- 総支払額の比較
借り換えにおいてもそれは同じですので、ぜひ読んでみてくださいね。
1.資金繰り面の比較
(単位:円)
当初借入5100万円 | 現状 | auじぶん銀行変動 0.457% | 三菱UFJ変動 0.525% +0.3%団信 | 三菱UFJ3年固定 0.39%→0.625% +0.3%団信 |
当初の毎月返済 | 148,850 | 134,457 | 142,830 | 139,720 |
その後毎月返済 | 152,787 | 134,457 | 142,830 | 144,695 |
60歳残高 | 30,471,687 | 27,875,099 | 28,660,678 | 28,780,604 |
毎月の返済額でだいたい1万円から2万円少なくなる計算、60歳残高では180万円ほど少なくなる計算です。
ただし、変動金利には金利の上昇リスクがありますので、それに見合うものかどうか?となると収入や資産との見合いで変わってきます。
2.借り換え費用の比較
(単位:円)
当初借入5100万円 | 現状 | auじぶん銀行 | 三菱UFJ変動+3大疾病 | 三菱UFJ3年固定+3大疾病 |
印紙 | 0 | 60,000 | 0 | 0 |
登録免許税 | 0 | 203,200 | 203,200 | 203,200 |
融資手数料 | 0 | 1,117,600 | 1,117,600 | 1,117,600 |
司法書士報酬 | 0 | 60,000 | 60,000 | 60,000 |
その他 | 0 | 3,399 | 3,399 | 3,399 |
合計 | 0 | 1,444,199 | 1,384,199 | 1,384,199 |
メールでは借り換え費用も込みで借り入れを行う旨、書かれていました。上記の融資手数料と司法書士報酬については、ほとんどの金融機関で融資できます。
また、三菱UFJ銀行は電子契約にすることで、印紙税が不要となります。詳しくはYouTubeで答えていますので、ご確認ください。
3.総支払額の比較
(単位:円)
当初借入5100万円 | 現状 | auじぶん銀行 | 三菱UFJ変動+3大疾病 | 三菱UFJ3年固定+3大疾病 |
借り換え費用 | 0 | 1,444,199 | 1,384,199 | 1,384,199 |
16年返済額 | 28,579,200 | 25,815,744 | 27,423,360 | 27,602,340 |
60歳残高 | 30,471,687 | 27,875,099 | 28,660,678 | 28,780,604 |
住宅ローン減税 | -5,999,700 | -5,320,900 | -5,381,100 | -5,381,400 |
合計 | 53,051,187 | 49,814,142 | 52,087,137 | 52,385,743 |
借り換えメリット | 0 | 3,237,045 | 964,050 | 665,444 |
このように、見た目上の借り替えメリットが一番大きくなるのはauじぶん銀行の変動金利です。金利変動リスクを負うからですね。
疾病保障を厚くする三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローンならば借り換えメリットは減りますが、それは金利変動リスクを負うかわりに病気のリスクを厚くカバーするためです。
回答③:これから金利変動リスクを負うべきなのか?
今後の社会情勢がどうなっていくのか?ということで金利タイプを選ぶのはお勧めしません。たった数か月まえに2020オリンピックの開催が危ぶまれるような状態になることを誰も予想しませんでした。
現時点の状況がどうであれ、良くも悪くも思ったとおりにならないものだと思います。個別具体的な住宅ローンの決定において、『今後の社会情勢』という切り口から助言することはしません。読み物としては書きますが。
そこで、次のような切り口から考えてみました。
借り換えメリットと今後の収入を比較する
ご相談者の年収は1000万円で定年までの期間は16年です。手取を720万円とすると16年で1憶1520万円です。
それに対して、auじぶん銀行の変動金利へ借り替えた場合の借り換えメリットは323万円ですね。
- 今から定年までの収入:1憶1520万円
- 借り換えメリットの額:323万円
今後の収入に対して、変動への借り換えによって得するかもしれない割合は、2.8%(=323÷11520)です。退職金も含めるともう少し小さな割合になるでしょう。2%くらいでしょうかね。
わたしならば、この割合に対して以下のように判断します。
- 1%未満:ほとんど誤差の範囲なので無視=借り換えない
- 10%以上:あえてリスクをとる価値がある=借り換える
こればかりは、人によっても考え方が異なるところかもしれません。しかし将来の社会情勢を予想するよりもはるかに有効な、ひとつの判断の尺度にはなると思います。