20代共働き世帯年収780万で最適な住宅ローン

2024年5月8日

結婚を機にマイホームを購入しようと思う人は多いですよね。さらに20代で結婚すると多くは共働きで夫婦の収入にほとんど差が無いことが多いです。

とはいえ、妻の収入はこれから出産や子育てによって減ることが予想できます。今のフルタイムの収入を基準に住宅ローンを決めて良いものか?という共働き夫婦からのご相談が増えています。

今日はそんな20代の若い共働きご夫婦からのご相談です。回答を千日太郎YouTubeチャンネルで行っています。チャンネル登録と更新通知(すべて)を設定すれば最新の動画を見逃しません。

【無料相談】20代共働き世帯年収780万円で最適な住宅ローンとは?|千日太郎YouTube動画へ

YouTubeでは主に質的な側面から回答しています。データの分析や量的な側面からの解説については、こちらのブログの記事を参照してください。

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相談者のデータ(年齢、年収、自己資金、物件価格、借入金額など)

家族の年齢と年収夫29歳 団体職員(390万住宅手当月2.7万) 
妻29歳 地方公務員(390万)
将来的に子供2人までを予定しており、妻も定年まで働く予定です。
自己資金の額1,200万(親からの援助含む)
物件価格4,700万(土地込み)
物件のタイプ注文住宅 2021年3月完成予定
借入予定額3,500万円
住宅ローン35年固定での借り入れを検討中。
伊予銀行の段階金利が第一希望、事前審査中。夫の単独債務で満額借入できるならば単独債務、無理なら妻との連帯債務を予定。
相談内容・収入に対して背伸びしすぎていないか?
・お勧めの住宅ローンの組み方
についてご教授いただければと思います。

回答①50:50の高収入共働き夫婦の借入金額の考え方

ご相談者のように夫婦の収入がほぼ同じくらい(50:50)で住宅ローンを組む場合の注意点については、2020年2月に出版しました住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本で詳しく解説しています。以下、その本の内容に当てはめて解説します。

無理なく返済できる住宅ローンの金額を計算するためのシミュレーション4つのルール

私は著書やブログで以下の4つのルールにあてはめて、無理なく返済できる住宅ローンを計算することをお勧めしています。

  1. 毎月の返済は「手取り月収の4割以下でボーナス払いなし」
  2. 返済額が一定になる「元利均等返済方式」
  3. シミュレーションの金利は「固定金利」
  4. 定年時のローン残高は「1000万円以下」

これを具体的に当てはめ、住宅ローン金額の目安を表にしました。

(単位:万円)

年収月収25歳30歳
300万15万20562056
400万20万27422742
600万25万34283428
700万30万41134113
900万35万47994799
1000万40万54855485
1200万50万85708570

注:年収1200万円は「1.手取り月収の5割以下」「4.定年時のローン残高は2000万円以下」としています。この年収を超えたあたりからは、一律のルールを当てはめても妥当な金額は見込めないからです。

妥当な借入金額は2742万円と4456万円の間くらい

最も低い場合を前提として、あくまでご主人単独債務とすると、30歳年収400万円のところですから2742万円です。しかし、これは実質的に夫婦2人の収入で返済していくという前提を無視した、過度に保守的な数字です。

一方で最も高い場合を前提とすれば、夫婦の合計年収780万円で返済することを前提にすると、30歳700万円と900万円の間くらいですから4456万円です。

しかし、これは夫婦の両方が定年までフルに働くことを前提にしたものです。今後は出産も予定されていますし、そもそも夫婦には離婚の可能性があります。

夫婦の共有名義での住宅ローンは「①夫婦両方の安定収入」「②婚姻の継続」という2つの大前提のものに成り立っているのですが、これは当たり前の前提ではなく、今後のたゆまぬ努力と幸運のたまものです。夫婦の合計年収を基準に考えるのはリスクが高すぎます。

そのため、ご相談者の場合は、2742万円と4456万円の間に適正な金額があるという考え方になりますね。

今、計画されている3500万円の借り入れはおおむねこの中間あたりになりますので、安全とまでは言えませんが、かといって危険すぎることもない、おおむね適正な範囲に入っていると思います。

回答②:自分のリスクに適合した住宅ローンとは?

年齢と年収、職業によってリスクが違ってきますので、最適な住宅ローンの形も違ってきます。

20代で公務員系なら固定金利がお勧め

ご夫婦の職業は団体職員と公務員ですので、不景気でもある程度収入は安定している反面、好景気になったからといって収入が増えにくいという面があります。

つまり今後、好景気になって金利が上がったときに、収入が増えないと利息の負担増が家計に響きやすいのです。そのため、固定金利にしておくことはご自身の収入の特性をつかんだ合理的な選択であると思います。

今は不景気で低金利です。その一方で収入は安定しており、今後の着実な増加も見込みやすいですね。今の低金利の水準で住宅ローンの金利をフィックスさせておけば、予想の難しい先の方になるほど支払いは楽になるのです。

固定金利を第一希望とされていることに、私も賛成です。

20代は健康リスクが低く公務員は保障が充実している

一方で、20代から住宅ローンをスタートする人は病気のリスクが最も低いため、団信生命保険(以下「団信」という。)に加入しない選択肢もあり得ます。団信とは住宅ローンの返済中に名義人が死亡または高度障害になった場合、保険会社が代わって住宅ローンの残金を払ってくれる保険です。

はじめのうちは住宅ローンの残高が3500万円もありますし、自分の年齢よりも長い期間の住宅ローンを借りるので、入った方が安心という印象があります。しかし、住宅ローンは長年の返済によって減少して行く一方、病気にかかるリスクが高くなるのは人生の後半です。

団信に不加入でも住宅ローンを借りられ、さらに金利も引き下げとなるフラット35で借りて別途自分で生命保険に加入するなどは、低い病気のリスクに適合した経済的に合理的な選択だと言えます。

また、公務員等は保険の面でかなり充実しています。そもそも団信に加入しなくても、それと同様の保険に加入している、または安い保険料で同等以上の保障が受けられる可能性があります。

別途で職場の保険に加入し、フラット35で団信不加入とすることで、保障の重複を無くすことが可能かもしれません。

回答③:シミュレーションで比較します

では、実際にシミュレーションしてみましょう。

まず、伊予銀行の段階金利型は金利が最も低い代わりに手数料は高いBタイプとします。かなり早期に繰り上げ返済しない限りは、Bタイプが総支払額で有利です。伊予銀行は過去にもこのサイトでご紹介しましたが、ネット銀行も顔負けの低金利です。良い銀行を見つけられたと思います。

これと比較するものとして、「住信SBIネット銀行のフラット35S保証型(頭金2割)」と「アルヒスーパーフラット8S(頭金2割)の団信不加入」を選びました。どちらも頭金を多く入れることで、低金利となるフラット35です。

住信SBIネット銀行の方は団信不加入とすることができないのですが、全疾病保障が漏れなくついてきます。この全疾病保障は20代共働き夫婦にとってそれほどありがたみは無いのですが、頭金を2割入れた場合で団信込みで最も低金利となるので候補に入れました。

一般的なフラット35(買取型)では団信不加入で引き下げになるのは0.2%なのですが、アルヒのスーパーフラットは0.28%の引き下げとなるため、団信不加入とする場合のベストチョイスとして候補に入れました。

この3つの商品の2020年3月時点の金利と団信を比較すると以下のようになります。

 当初10年その後団信
伊予銀行 段階金利型0.57%0.91%一般の団信
住信SBIフラット35S保証型 頭金2割0.83%1.08%全疾病保障
アルヒスーパーフラット8S団信抜き0.61%0.86%不加入

著書の住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本では、以下の3つの切り口から検討することをお勧めしています。

  1. 資金繰り面の比較
  2. 借入費用の比較
  3. 総支払額の比較

ではやってみましょう。

1.資金繰り面の比較

(単位:円)


物件4700万円
借入3500万円
伊予銀行段階金利
0.57%→0.91%
住信SBIネット銀行フラット35保証型
0.83%→1.08%
アルヒスーパーフラット8S団信不加入
0.61%→0.86%
頭金12,000,000 12,000,000 12,000,000
毎月返済91,94196,05192,566
11年目~毎月返済95,81998,98595,421
30年後残高5,618,1805,778,9845,602,109

資金面でほとんど有意な差は無いですね。毎月返済額は少し増えますが、家計に響くようなレベルではありません。

また、30年後の残高という面でもこれによって老後資金に大きな差が出るということもありません。

2.借り入れ費用の比較

(単位:円)


物件4700万円
借入3500万円
伊予銀行段階金利
Bプラン
住信SBIネット銀行フラット35S保証型アルヒスーパーフラット8S団信不加入
印紙20,20020,20020,200
登録免許税35,00035,00035,000
保証料989,28000
事務手数料1,056,0001,056,0001,056,000
司法書士報酬60,00060,00060,000
その他055,00055,000
合計2,160,4801,226,2001,226,200

借入費用では、伊予銀行の段階金利型が一番高いです。段階金利型に特有の手数料(2.2%)に加えて保証料がかかってくるからです。

それに対して、住信SBIとアルヒには保証料がかかりませんので、それが大きな差になっています。これが総支払額でどういう違いになってくるか?ですね。

3.総支払額の比較

(単位:円)


物件4700万円
借入3500万円
伊予銀行段階金利
0.57%→0.91%
住信SBIネット銀行フラット35S保証型
0.83%→1.08%
アルヒスーパーフラット8S団信不加入
0.61%→0.86%
借入費用2,160,4801,226,2001,226,200
頭金12,000,00012,000,00012,000,000
30年返済額34,029,48035,282,52034,008,960
30年後残高5,618,1805,778,9845,602,109
住宅ローン減税-2,426,000 -2,426,000 -2,426,000
合計51,382,140 51,861,704 50,411,269
伊予銀行との差0479,564-970,871

伊予銀行VS住信SBIでは、住信SBIの方が約48万円支払いが多くなるという結果になりました。今の金利水準であったなら、伊予銀行の方がお得ということですね。すごいですね!伊予銀行。

伊予銀行VSアルヒでは、アルヒの方が97万円支払いが少なくなるという結果になりました。これは団信の差といえるでしょう。97万円の差を30年(360か月)で均すと1か月あたり2,697円です。

団信の代わりとして別途加入する保険料が2,679円未満であれば、 アルヒスーパーフラットで団信不加入にした方が有利です。

まとめ~複数の住宅ローンで審査に出しておくことをお勧めします

来年の3月まで約1年ほどありますので、今後金利がどうなるか?まだわからないところが多いです。

伊予銀行は現時点のベストチョイスに近いですが、それはあくまで現時点のものです。複数の金融機関、金利タイプで審査を通しておき、直前に金利が上がったときに別の銀行へ逃げられるようにしておくことをお勧めします。

他の金利タイプでのお勧めは、当サイトの年齢、世帯年収別のランキングを参考にしてください。

以上、参考になれば幸いです。

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