コロナで居住が遅れても13年の住宅ローン控除を受ける方法

2020年6月2日

住宅ローン控除は、住宅ローンの利息を国が肩代わりしてくれる減税制度です。

12月末時点の住宅ローン残高の1%を上限として10年間、所得税等から還付されます。さらに2019年10月の消費増税に伴い、住宅ローン控除を受けられる期間が13年に延長されるケースがあります。

11~13年目については次のいずれか少ない額が限度額となります。

  • 12月末の住宅ローン残高×1%
  • (住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3

どうせなら、13年受けたいですよね。この13年の特例を受けるには、以下の2つを両方満たしている必要があります。

  1. 建物代金に10%の消費税が課税される「特別特定取得」である。
  2. 2020年12月31日までに「居住の用に供する」こと。

しかし、新型コロナウイルス感染症が原因で遅れたことを証明すれば、2021年12月31日まで入居の期限が延長されるのです。

どういう条件を満たせば、居住が遅れても13年の住宅ローン控除を受けられるか?詳しく解説します。

千日太郎のYouTubeでは、最新の金利情報や補助金の情報をリアルタイムに発信しています。チャンネル登録と更新通知(すべて)を設定すれば最新の動画を見逃しません。

広告

大前提:10%の消費税が課税される特別特定取得であること

まず、大前提として特別特定取得である、という条件を満たしている必要があります。特別特定取得とは、建物代金に10%の消費税が課税されている住宅の取得をいいます。

土地はもともと非課税なので、消費増税の影響はありません。消費税がかかるのは建物代金です。注文住宅を建てる場合の建築費用やリフォーム、リノベーションの増改築費用も同じく消費税がかかります。

このように建物代金や建築、増改築費用に対して10%の消費税が課税される場合には「特別特定取得」となり、住宅ローン控除が13年となる望みがあります。

ではマイホームで消費税がかからない場合があるのか?というと、一般的には中古住宅がそれですね。わたしたちが読まなくなった本をブックオフに売る場合や、着なくなった服をフリマで売る場合、受け取るお金に消費税を取りませんが、それと同じことです。

ただし、中古住宅なら全て消費税が非課税とも限らないので注意が必要です。不動産会社が所有し、商品として販売する中古住宅については、建物部分に消費税が課税されるのです。

そのため、「中古住宅だから住宅ローン控除は10年だ」と決めつけてしまうと損をします。所有者が不動産会社などの課税業者なのかそれとも個人なのかをよく確認しておきましょう。

2020年12月31日までに居住の用に供する=住民票を移すこと

住宅ローン控除は「居住」がスタートであり「取得」ではないので注意が必要です。例えば家を建てるための土地を住宅ローンで購入しても、家が未完成で住んでいなければ住宅ローン控除を受けることができません。いつから住み始めたかを証明する書類は住民票です。

住宅ローン控除の期間を13年にするには2020年12月31日までに住民票を移さなくてはなりません。引っ越したら出来るだけすぐに住民票を移すことをおススメします。

2021年12月31日まで延長する条件

入居が期限に遅れた場合でも、次の2つの要件を両方満たした上で令和3年(2021年)12月31日までに入居すれば、13年の住宅ローン控除を受けられます。

  1. 一定の期日までに契約が行われていること。
  2. 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によって注文住宅、分譲住宅、既存住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと。

これをそれぞれ詳しく解説します。

一定の期日までに契約しておく必要がある

  • 注文住宅を新築する場合は令和2年(2020年)9月末までに契約する。
  • 分譲住宅、既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合は令和2年(2020年)11月末までに契約する。

注文住宅を建てる場合は2020年9月30日までに契約しておかないと、たとえコロナが原因で居住が遅れたとしても認めてもらえないということです。契約のタイミングに注意が必要です。

分譲住宅はマンションの契約です。既存住宅は中古で消費税の課税業者から購入する場合や建売住宅を購入する場合です。増改築等は言葉のままですね。これらは2020年11月30日までに契約しておけば、翌年の2021年12月31日まで居住が遅れても13年の住宅ローン控除が受けられる可能性があります。

契約の日は後から遡って変更することができませんから、13年の住宅ローン控除を受けるために、この期日については頭に入れておく必要があります。

コロナが原因で遅れたことの証明に必要なこと

コロナで入居が遅れたことを証明するために「入居時期に関する申告書兼証明書」という書類を作成して提出します。これは契約事業者が作成したものをもらって、税務署に提出する建前となっています。

ただし、契約事業者が作成せずとも自分で作成して自分で署名捺印することも認められます。内容は以下のようになっています。

入居時期に関する申告書兼証明書

1.新築又は取得若しくは増改築等をした家屋

家屋の登記事項証明書に記載された内容から転記します。

家屋がマンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、 階段や通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めず、登記事項証明書上の専有部分の床面積を記入します。

なお、契約事業者の署名捺印時点で登記事項証明書上の床面積が確定していない場合は、空欄にした上で、申告時に申告者のほうで記入します。

2.新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受け、住宅用の家屋の新築又は取得若しくは増改築等後、令和2年12月31日までに居住の用に供することができなかった事情

例えば以下のような事情があった場合はこれに該当することとされています。

  1. 住宅購入検討者が外出を自粛したため、又は事業者が営業を自粛したため、なかなか住宅展示場やマンションギャラリー、各種相談窓口を来訪することができなかった。
  2. 住宅購入検討者が外出を自粛したため、又は事業者が営業を自粛したため、営業担当者との打合せが遅れた。
  3. トイレやキッチンなどの住宅設備機器、建築資材などの納入が遅れた。
  4. 工事事業者の休廃業や体制の縮小などにより着工が遅れた又は工期が長期化した。
  5. 事業者から鍵は入手したが、営業自粛により引越業者がなかなか見つからな かった。
  6. 引渡しまで完了したが、他県への引越しを伴うため、事態が収束するまで旧居に 留まることにした。

少なくとも1.についてはマイホームの取得を検討しているあらゆる人に当てはまることですから、実質的に契約の期限をクリアしていれば「コロナが原因で遅延した」ということが証明できます。

3.工事完了の年月日又は当該家屋の引渡しの年月日及び居住開始の予定年月日等

「工事完了の年月日又は当該家屋の引渡しの年月日」には、実際に工事が完了した日付又は実際に当該家屋の引渡しが行われた日付を記載します。完成か引渡しいずれの日付でも構いません。

なので、工事業者でなくても自分でも記入は可能です。

この「入居時期に関する申告書兼証明書」は事業者において作成の上、申告者に渡すことを原則としていますが、事業者の署名捺印が得られない場合は、申告者が署名捺印を行い、提出することも可能とされています。

まとめ~知らなければ損する

住宅ローン控除は、最初の1回目は自分で確定申告する必要があります。確定申告せずにいると、そもそも10年の住宅ローン控除も受けられません。さらに、13年に延長される要件も知らないと3年分損してしまいます。

コロナウイルスの不況下では、この住宅ローン控除だけでなくこれから様々な補助金や減税制度が出てくる可能性があります。アンテナを広げておいてくださいね!

以上、参考になれば幸いです。