33歳独身、頭金ゼロのフルローン変動金利で新築マンションを買う
独身で住宅ローンを組む方に千日がよくお勧めする住宅ローンは、アルヒスーパーフラットの団信不加入です。これによって35年固定金利なのに、変動金利のような低金利となるのです。
詳しいやり方はこちらの記事をどうぞ。
しかし、この方法をとるには最低でも1割の頭金が必要です。さらに家を購入するには、住宅の購入手数料に住宅ローンの手数料も必要です。諸々あわせて200万円前後になりますので、国産車1台購入するくらいのお金は手数料だけで必要になるのです。
そのうえ、数千万円の物件の頭金1割というと、トータルで高級車一台分くらいのキャッシュが必要ですね。
30代前半でそこまで貯金が貯められている人は少数派でしょう。今日は頭金ゼロのフルローンで独身で新築マンションを購入する方からのご相談です。
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相談:独身33歳男、フルローンで新築マンションを購入する場合のベストな住宅ローンは?
はじめまして。単身で新築マンション購入を考えております。先日投稿された方と同じように賃貸で家賃を払うことが勿体無いと感じるようになったからです。
手持ちの資金としては250万円なので、ここから購入手数料と住宅ローン手数料を払うまでにとどめておき、残りは温存して、フルローンで借りようと思っています。
アドバイスをお願いします。
家族の年齢と年収 | 独身男性33歳 年収580万 |
自己資金の額 | 250万円 |
物件価格 | 3200万円〜3500万円 |
物件のタイプ | 新築マンション |
借入予定額 | 3200万円〜3500万円 |
住宅ローン | 提携ローンで住信SBIネット銀行0.395%(変動金利2.775%-2.38%優遇) |
相談内容 | 先日訪問したモデルルームで試算していただいたら販売元の提携ローンで計算されており果たしてそのローンが私にベストなのか不安だったので投稿させていただいたことも理由の1つです。 |
回答①:独身で組む住宅ローンのお勧め団信
まずは、団信不加入です。つまり団信に加入しないことがお勧めです。
あえて団信に入ることが前提なら、がん保障など診断の時点で保険金が払われる団信がお勧めです。
独身で住宅ローンを組む場合に団信不加入をお勧めする理由
冒頭にも書いていますが、独身の場合は団信不加入をお勧めしています。団信は債権者(金融機関)が契約します。つまり保険金の受取人は債権者です。そして保険料は支払い利息という形で実質的に債務者(私たち利用者)が負担しています。
つまり、債権者によって生命保険をかけられている債務者がそのコストを負担するという、きわめてアコギな性質のものです。しかし、債務者が死亡したときにはこれによって住宅ローンがゼロ円になり、遺族が家を出ていかずに済むので日本に特有の商慣行として成立しています。
ということは、その家を生活の基盤とする扶養家族がいなければ、自発的に加入する必要のない保険です。したがって原則として、団信不加入をお勧めしています。後から結婚して家族ができて、保険の必要が生じたら、通常の生命保険に加入すればいいのです。その方が無駄がありません。
フルローンで団信加入が前提の場合はがん保障などの診断保障がお勧め
しかし、今回のケースは頭金を1割入れられないので、スーパーフラットで団信不加入という最もお得なやり方が使えません。頭金をどうにかして工面するのがA案ですが、それだけだと身も蓋も無いですからフルローンのB案で考えましょう。
死亡ではなく、早い段階で保険金が支払われる保障がお勧めです。つまり、がん保障です。がん保障は医師によるがんの正式診断が下りた時点で保険金が支払われます。
auじぶん銀行、楽天銀行、ソニー銀行では、金利上乗せなしでがん50%保障が付きますので、これもお勧めです(ただしソニー銀行の変動金利には5年ルールと125%ルールの適用がありません)。
50%でも十分に厚い保障ですよ。その時点で住宅ローンが半分になるのですから、売却すれば、ほぼ確実に住宅ローンを完済したうえで多額の資金を手元に残すことができます。
そのお金で治療や休業中の生活を賄えますので、かなり手厚いがん保険に入っているようなものです。
がん保障がお勧めである反面、あまりお勧めしないのが全疾病保障です。半年から長いのでは1年の入院ないし就業不能状態が前提になっています。お医者さんに聞くと、これはほぼ死亡に近く、まず社会復帰は不可能な状態だそうです。
扶養家族がいれば、これも無駄ではないのですが、独身の場合は自分自身にメリットの感じにくい保障です。
提携ローンの住信SBIネット銀行は、金利面では確かに低金利ですが、団信の保障がこの全疾病保障なので、その点で今ひとつですね。
回答②:住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、楽天銀行で比較
そこで、以下の3つで比較します。
住信SBIネット銀行の変動金利:金利面で0.395%(提携ローンの特別金利)と最低金利だが全疾病保障のみ。また、融資手数料は2.2%と高い。
auじぶん銀行の変動金利:金利面で0.457%と住信SBIより高いが、全疾病保障に加えてがん50%保障が金利上乗せなしで付帯する。融資手数料は住信SBIと同じ2.2%
楽天銀行の変動金利:金利面で0.537%と一番高いが、全疾病保障に加えてがん50%保障が金利上乗せなしで付帯する(50歳以下)。融資手数料は定額の33万円と一番安い。
これ以外の条件は、35年元利均等返済、ボーナス払いなしで、60歳になる27年後にその時の残高を一括繰り上げ返済することとします。
- 資金繰り面の比較
- 借り入れ費用の比較
- 総支払額の比較
を行います。この考え方はこの2月に出版しました本住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本にも詳しく書いていますので、ぜひご一読くださいね。
1.資金繰りでは大差なし
(単位:円)
物件3350万円 借入3350万円 |
住信SBI0.395% | auじぶん銀行 0.457% |
楽天銀行0.527% |
頭金 | 0 | 0 | 0 |
毎月返済 | 85,415 | 86,325 | 87,361 |
27年後残高 | 8,070,402 | 8,136,281 | 8,210,568 |
金利では大きく違うような印象を受けたかもしれませんが、毎月の返済額では千円とか2千円とかの差しかありません。また、定年の27年後の残高も大した差ではありませんね。
どれを選んでも資金繰りでの違いはありません。また、3行とも5年ルールと125%ルールの適用があります。詳しくは千日のブログでも解説していますので読んでみてくださいね。
2020年の住宅ローンは変動か固定か?公認会計士として答えます|千日のブログへ移動します
2.借り入れ費用で楽天銀行が40万円少なく済む
(単位:円)
物件3350万円 借入3350万円 |
住信SBI0.395% | auじぶん銀行 0.457% |
楽天銀行0.527% |
印紙 | 40,000 | 40,000 | 40,000 |
登録免許税 | 33,500 | 33,500 | 33,500 |
事務手数料 | 737,000 | 737,000 | 330,000 |
司法書士報酬 | 60,000 | 60,000 | 60,000 |
合計 | 870,500 | 870,500 | 463,500 |
楽天銀行の融資手数料が定額になる分だけ、最初の借り入れ費用が少なく済みます。約40万円ですから、これは無視できないですね。
引っ越し費用などいろいろと出費がありますので、これは明らかな違いとして認識しておきましょう。
3.総支払額でガン50%保障の保険料がわかる
(単位:円)
物件3350万円 借入3350万円 |
住信SBI0.395% | auじぶん銀行 0.457% |
楽天銀行0.527% |
借入費用 | 870,500 | 870,500 | 463,500 |
頭金 | 0 | 0 | 0 |
27年返済額 | 27,674,460 | 27,969,300 | 28,304,964 |
27年後残高 | 8,070,402 | 8,136,281 | 8,210,568 |
住宅ローン減税 | -3,207,200 | -3,211,600 | -3,233,500 |
合計 | 33,408,162 | 33,764,481 | 33,745,532 |
住信SBIとの差 | 0 | 356,319 | 337,370 |
団信 | 全疾病 | 全疾病+ガン50% | 全疾病+ガン50% |
総支払額ではauじぶん銀行、楽天銀行の方が約35万円高くなっています。これはガン50%保障の保険料だといえますよね。1か月の保険料とすると、35万円÷27年÷12か月=1080円ほどです。
ガンと診断されたら住宅ローンが半分になるのですから、最大で最初の3350万円÷2=1675万円、最低で60歳残高の820万円÷2=410万円の保険金が支払われるという保険になります。
普通のガン保険で一時金として数百万~1千万もの見舞金が出る保険はありませんから、毎月たったの千円ほどのコストから考えると、すごく手厚い保障といえます。
まとめ~独身で民間融資の変動金利なら楽天銀行がお勧め
楽天銀行の変動金利は手数料が定額で安いですので、最初の支払いが抑えられる点で自己資金の少ない人に適合しています。最初の40万は大きいですよね。
また、細かい点ですが楽天銀行では、病気やケガで一時的に働けなくなったときの毎月の返済保障があり・じぶん銀行にはないという点で少し楽天銀行の方が保障が手厚いです。
なお、楽天銀行のガン保障特約(50%保障)がスタートしたのは2020年1月27日なのでまだ知らない人も多いです。今後これに気付いた人の申し込みが増えるでしょう。今のうちに楽天銀行でも審査に出しておくことをお勧めします。
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